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(8) 座談会 学歴より経験重視写真の拡大
![]() 日本の教育との違いを語り合う(左から)ヒルトゥネンさん、飯塚さん、安藤さん=ヘルシンキ市内で
日本の教育との違いは何か。フィンランド在住の日本人に語り合ってもらった。 安藤 今年8月に長女が小学校に入学するが、学校説明会で、始業時刻を何時にするかについて、校長先生が保護者と相談し始めたのには驚いた。 飯塚 小学校の場合、授業開始時刻は曜日によって違う。しかも、時間割に書いてあるのは始業と終業時刻だけで、各科目の授業の進み具合を見ながら、先生が時間割を決めていくという学校も珍しくない。 安藤 学校や先生の考えや判断を尊重する伝統が根付いている。 ヒルトゥネン 携帯電話の市場占有率が世界の3分の1というIT(情報技術)企業「ノキア」の国だけに、IT教育に力を入れている中学を見学すると、設備や授業には圧倒される。 飯塚 親はみな教育熱心だ。音楽や語学などを手厚く学ばせる特別コースを持つ小中学校がヘルシンキには多いが、人気が高い。小学3年の長女も受験して音楽コースに入った。 ヒルトゥネン 小学5年の長男の試験問題を見ると、選択式より記述式が多い。知識だけでなく、読解力が必要な問題が目立つ。 安藤 計算力はあまり重視されない。小学3年あたりから電卓を使わせる先生もいる。ヘルシンキ近郊のバンター市のある小学校では、机に電卓が埋め込んであるそうだ。
安藤 学校の成績評価は、幼稚園から中学までは秋学期と春学期で1回ずつある。教科ごとに4〜10点で評価し、小学2年生以下の評価は先生が文章で書く。 飯塚 高校への進学は中学の国語、数学、理科、外国語など主要教科の平均値で決まり、基準は7点以上。高校ごとに、合格者の成績によって決まる合格ラインがある。各校の合格ラインは、テレビ局が集計して流し、一番悪い学校と良い学校の校長のインタビューも放送される。 ヒルトゥネン ただ、高校には6割近くが進学するが、成績が悪くて進学できなくても、「恥ずかしい」という雰囲気はない。職業学校に進んで技術を身につけ、「その道のプロになる」という選択がある。 飯塚 料理人の私から見て、職業学校卒の人材はウエーターもコックも日本料理は別にして即戦力だ。 安藤 就職の際、新卒かどうかを重視しないし、年齢制限もない。問われるのは学歴ではなく経験。 ヒルトゥネン 働きながら大学に通うのは当たり前だし、卒業しないで就職することも、この国では珍しくない。 ■座談会出席者 飯塚順一さん(54)(日本レストラン勤務) ヒルトゥネン久美子さん(44)(通訳・コーディネーター) 安藤絵里子さん(33)(通訳・コーディネーター) 3人は伴侶がフィンランド人で、子供たちは現地の学校に通っている。 学ぶ内容 自治体が決定 フィンランドの義務教育は日本と同じ9年間で、満7歳になる年の8月に小学校に入学する。 1994年の教育改革で、義務教育については、国はカリキュラムの大枠を示すだけになり、具体的に学ぶ内容の決定は自治体の判断に委ねられた。 義務教育後の進路は、高校と職業学校に分かれる。高校は、主要科目の成績で入学の可否が判断され、職業学校は、入学時に適性試験が課される場合もある。 大学入試は、高校の学習到達度をみる大学入学資格試験と、専門分野の適性をみる大学ごとの個別試験の2本立てだ。大学卒業は一般に「修士修了」を指し、修士修了には最短でも5年はかかる。修了までの平均年数が10年以上という学科もある。 (2005年4月1日 読売新聞)
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