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(10) 技術教育 もっともっと写真の拡大
![]() 埼玉県の公立中学校教諭、東京大学教育学部付属中学・高校教諭、京都工芸繊維大学教授を経て昨年から同志社女子大学教授。現在は高校版の検定外教科書を編集中。56歳。
検定外教科書を作った左巻健男(さまきたけお)さんが、専門高校の過去と未来を語る。 ◆左巻健男さんに聞く 「授業は分からなかったけれど、それでも化学漬けの毎日は楽しかった」 東京都立中野工業高校の工業化学科で過ごした3年間を振り返る。 中学3年の時に栃木県から東京に引っ越し、転校先で授業について行けなくなった。高校進学も難しいと担任に言われたが、好きな化学が学べる学科を選び、なんとか合格した。 「だから、1日6時間、分からない授業を受けなくてはならない生徒の気持ちが分かる。もし私が普通科に入学していたら、退学していたでしょうね」 自身は、実習や専門科目に救われた。 だが、「中学3年で自分の適性を見極められる生徒は多くない。普通科と専門学科を合わせた総合学科の急増も、専門教育に魅力を感じながら、普通科目も勉強しておかなければ、という生徒のニーズを反映している。専門高校でも普通科目の比重が高まっていくのでは」と予測する。
手先が不器用で、職人には向かないと思った。高校2年で、研究者か教師になるしかないと決意。土木作業や新聞配達をしながら勉強し、2浪の後に千葉大学教育学部に入学した。 「当時、工業高校から大学に進学するのは、学年トップの生徒でも、きわめて困難でした。優秀な生徒に対し、特別枠などで、門戸が開かれるようになったのは、よいことです」と歓迎する。ただ「数学をはじめとする基礎学力は、ある程度、身につけておかなくては」と注文もつける。 国立大学でも、推薦入試を中心に、小論文や面接だけで選抜する特別枠が増えているが、「あまりハードルを下げてしまうと、留年・中退につながる」と慎重だ。 一方、大学で取り組んだ化学実験は、高校ですでに経験していたことばかりで、専門高校の強みを実感した。「実習の中で、数学や物理を必要とする課題を与えれば、基礎学力も同時に強化できる」と提案する。
理科教科書の執筆者として、学習内容の削減方針をとる文部科学省と衝突した経験が、小学生用「新しい理科の教科書」や中学生用「新しい科学の教科書」(ともに文一総合出版)を作る原動力になった。 「教科書は、易しさより、おもしろさを」が持論。日本の理科教育が抱える問題の一つに「技術教育がないこと」を挙げる。 「他の先進諸国では、小学校から高校までの普通教育の中に、産業技術教育が組み込まれている。日本の中学の技術科は、生活技術の範囲を出ず、英仏では小学生レベル」と厳しい。 日本で、技術教育を広く採り入れるために、専門高校の知識や設備が役立つはずだとも考えている。 工業や農業など、理科系の専門高校でも、社会科学的な視点を育てる重要性を訴える。「自分が学んでいることが、世界とどのようにかかわっているのかを知る必要があります。取り組んでいることの全体像をイメージする力がなくては、創造的な活動は出来ません」(聞き手・飯田祐子)
次回からは、利用者のニーズに対応して変化を続ける幼稚園と保育園をテーマにします。両方の機能を併せ持つ「総合施設」の導入で国が重い腰を上げました。その現場も報告します。 (2005年6月18日 読売新聞)
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