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教育ルネサンス

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考える仕事と進路

(6) 社会勉強 地域が支援

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土岐さん(左)のアドバイスを受けながら文章をまとめる(荒川区立第四中で)

 地域社会が協力して仕事を理解させる試みが広がる。

 「きれい」「本物みたい」

 雑誌編集者の土岐小百合さん(51)から見本を見せられた東京都荒川区立第四中学校の2年生が歓声を上げた。働く人を紹介する雑誌作りの最中。見本には、自分たちの撮ったカラー写真が割り付けられていた。

 生徒たちは、10月下旬の2日間で、職場体験を兼ねて、地域にある美容室やペットショップ、農家を訪問。「その仕事を選んだ理由」や「心がけていること」を聞いた。その結果や感想をA4ワイド判32ページの雑誌にする。雑誌は無料で、地域の店などに置いてもらう。

 「美容師になりたい人が、中学生の時に何をすればいいか、ちゃんと聞けました。いろんな人に読んでもらえるなんて驚きです」

 生徒の一人、秋山真実さん(14)は、見本の誌面に満足そう。事前の授業で取材マナーやインタビューの方法を学んでいたため、相手の目を見て話すよう心がけることもできた。

 この授業には、教育プログラムの開発などを手がける都内の会社「ソシオエンジン・アソシエイツ」が協力する。副代表の服部直子さん(44)は「職業体験のやりっ放しでは、教育効果が疑問だった。体験を振り返り、理解を深める道具として、雑誌作りは役立つ」と意義を語る。

 自転車部品メーカー「シマノ」がある大阪府堺市では、市立さつき野小学校とさつき野中学校で小5から中1までが縦割りで30のチームを作り、未来の自転車作りに挑む。シマノの社員が自転車の仕組みを説明、市の伝統産業や自転車の歴史も学んだ後、秋から商品企画書の作成に入った。

 考えるのは「どんな自転車が欲しいか」ではなく、「どんな商品が求められるか」。企業のモノ作りに対する考え方や販売戦略を追体験し、ビジネスに興味を持ってもらう狙いだ。

 「タイヤを増やすならどこがいい?」「三輪車みたいにすれば」「車輪は四つあったほうが良くない?」「曲がりにくいやろ」

 足腰の弱い人も楽に乗れる自転車を作ろうと考えたチームでは、こんな試行錯誤が続いた。上級生のリーダーシップが育ち、学年を超えたコミュニケーションも生まれている。

 この授業のまとめ役は、大学間の単位互換や産官学の連携に取り組むNPO法人「南大阪地域大学コンソーシアム(共同事業体)」の難波美都里さん(53)ら。同様の授業は、他の小中4校でも行われており、優秀な作品は、市商工部の協力で製品化する計画もある。

 「学校はこれまで閉じた集団だった。企業と学校が協力して教育していく橋渡しができれば」と難波さん。「目指すのは、地域社会とのかかわりの中で、社会人として生きていく自己を確立させること」と、さつき野小の加賀山順子校長。

 大人たちの思いが、教育現場を動かす原動力になっている。(加藤理佐)

経済産業省のキャリア教育事業 産業界や自治体を巻き込んだモデル事業として今年度、「地域自律・民間活用型キャリア教育プロジェクト」の名で全国25件を選定した。荒川区や堺市の取り組みもこの一つ。きりたんぽの材料の仕入れから販売までを経験する秋田県大館市、アニメを企画・制作する東京都三鷹市でも、NPOや企業が事業の中核になっている。予算額は約3.4億円。

2005年11月30日  読売新聞)
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