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(11) 学ぶ楽しさ 塾が伝授写真の拡大
![]() プラネタリウム投影用ドームの前で「20年来の夢がかないます」と語る曽根塾長
自前のプラネタリウムで勉強の楽しさを伝える塾がある。 横浜市にある小学生対象の学習塾「啓進塾」の教室には、巨大な肉まんのような白い物体がすっぽりと収まっていた。直径5メートル、高さ2・5メートル。プラネタリウム投影用のドームだ。来年早々には完成する。塾を始めてまもなく20年の曽根嘉浩塾長(50)が「プラネタリウムの設置は、ずっと夢でした」と明かす。 校舎は横浜市内に2校舎。不公平にならないよう、両方に作る。投影機の製作は、その道の第一人者に頼んだ。 「横浜では見られない満天の星を見て、宇宙の広がりを感じてもらいたい。南半球で見る逆回転の星空や、赤道付近で見る地平線から上がる星空も体感させたい。何より、楽しみ、感動しながら、勉強してもらいたい」。そんな思いを込める。
◎ 麻布、栄光学園、フェリス女学院。校舎入り口に掲げた私立中の合格実績を見ると厳しい受験指導を想像するが、そうではない。 講師はあえて話を脱線させる。都道府県を学ぶ社会の授業では、新潟県出身の講師が、雪下ろし中に屋根から落ちた思い出話を派手なジェスチャー付きで披露。道路の融雪システムの説明に、子供たちが感心した様子で聞き入る。 時計の短針と長針の間の角度を計算する算数の授業では、「ところで、短針と長針が重なるのは1日何回でしょう?」と尋ねる。必死に角度を計算していた子供たちが顔を上げ、「1時間に1回重なるから、24回!」と答える。正解は22回。なぜ24回でないのかを理解するには、少し時間がかかる。その間は、角度の勉強はお休みだ。 「それでいい。勉強は本来、楽しいもの。子供たちには、勉強を嫌いにならずに、学ぶことを面白いと感じながら成長して欲しい。子供が本気になって自分から学び始めれば、学力は一気に伸びる。結果的に入試にも合格するのです」 落語家の三遊亭円窓さん(65)を招いた国語の授業も計画中だ。ほとんどの保護者が賛同している。入塾説明会で、いつも「中学合格だけを目指すなら、別の塾へどうぞ」と言っているからだ。
◎ だが、いかに優秀な講師を集めるかは悩みの種だ。勉強の楽しさを伝えられる講師はそう多くない。話の脱線には、その人の生き方や人間性がにじみ出る。研修で教えられるものではない。実際、講師の採用は面接だけで、ペーパーテストも研修制度もない。 「入塾定員を増やして欲しい」「ぜひ東京にも校舎を」と求められることもあるが、今のところ3校舎目の計画はない。優秀な講師の授業が分散し、授業の質が低下してしまうと考えるからだ。 プラネタリウムが完成したら、塾の子供たち以外にも見てもらう。入塾者を増やすのが目的ではない。「そんな物を常設している塾があるのか、と驚く人の中から、講師を希望する人が現れてくれたらいい」と腹がすわっている。(中島達雄) 通塾率 保護者2万1600人を対象にした文部科学省の調査では、2004年度、学習塾に支出をしたのは、公立の小学生で41.3%と、前回(02年度)に比べ2.3ポイント増。支出の平均額は年14万円で、前回より1万円増えた。公立中で支出をした人は74.4%(前回比0.6ポイント減)、私立中55.1%(同0.2ポイント増)、公立高35.1%(同3.2ポイント減)、私立高44.0%(同1.3ポイント減)。 (2005年12月28日 読売新聞)
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