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伸ばす科学の力

(3) 英字記事で“先端学習”

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英語の科学記事を使って授業をする今野教諭(埼玉県立川越女子高で)

 英語の科学記事を授業に活用している高校教師がいる。

 教室前方のスクリーンに、海外のホームページが次々に映し出される。英国のBBCや米国のCNNなど、報道機関の科学ニュース、英国の科学誌「ネイチャー」、米航空宇宙局(NASA)のニュースなど。その中から、面白そうな科学記事を数本選び、記事の内容を表示させた。

 「この記事は、2月22日に日本のロケットが赤外線天文衛星を打ち上げたニュース。イギリスでも報道されているんだね。じゃあ、中身を読んでいこうか」

 埼玉県立川越女子高の2年生の英語の授業。今野文彦教諭(48)はこの日、あえて教科書や問題集は使わず、英語の科学記事だけで授業を進めた。衛星の記事のほか、鳥インフルエンザや、英国内のガの減少についても取り上げた。

 今野さんの授業に慣れた生徒たちは「bird flu(鳥インフルエンザ)」「biodiversity(生物多様性)」といった専門用語も抵抗がない。

 英語教師歴25年。「小さいころから理科や工作は好きだった」という今野さんが、英字新聞の科学記事を教材に活用してきたのは、「科学記事は新しい発見や驚きがあふれている」という理由だけではない。「文化的な背景の理解があまり必要ない分、政治や経済の記事より理解しやすい。科学記事を新鮮なうちに英語で読めば、科学と英語の両方の勉強になります」

 インターネットの急速な普及で、ここ数年、教材を探し出すのも、格段に便利になった。「だれでも手軽に科学記事が読めるのだから、ネットを使わない手はない」と今野さん。

 海外のホームページを見て回るのが日課だ。ネットから生徒が興味を持ちそうな英語の科学記事を1本選び、文中の難しい単語の意味や、わかりにくい言い回しの解説を事前に書き込んでプリントにする。始業前、職員室にある各クラスの出席簿の棚に人数分入れておくと、当番の生徒が取りに来て教室で配る仕組みが出来ている。

 英語の授業の教材を毎回、科学記事にするわけにもいかないため、生徒が時間のある時に気軽に読めるようにするわけだ。今年度の配布は2年生9クラスの全生徒、約360人だ。

 今野さんは昨年8月、東京・江東区の日本科学未来館で開かれた科学教育のシンポジウムで取り組みを発表し、理科離れに頭を悩ませている理科教師らの注目を集めた。

 実際、プリントの科学記事の内容について、理科教師のところに質問に行く生徒も現れている。今野さん自身もプリント作成にあたって理科教師に助言を求めることがある。自然に教科の枠を超えた教育活動が生まれつつある。

 川越女子高の場合、生徒の7割は文系志望だが、科学は英語と同様、世界の共通語。先端科学に触れて視野を広げることは、将来、必ず役立つに違いない。(中島達雄)

 英文科学誌 科学研究者が重要な新事実を発見したり、新たにナゾを解明したりした場合、まず英文の科学誌に論文を投稿することが多い。英国の「ネイチャー」((http://www.nature.com/))と米国の「サイエンス」((http://intl.sciencemag.org/))が代表格で、2001年のヒトゲノム解読の論文も両誌に掲載された。雑誌自体は有料だが、ホームページでは無料で最新の科学ニュースが読める。

2006年3月2日  読売新聞)
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