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(7) 大学が授業案 地域貢献写真の拡大
![]() 立教大3年生の長岡敦子さん(左)が、子供たちにDNAを教えるオリジナル授業を考案。檜枝光太郎・立教大理学部長に説明し意見を求めた(立教大で)
大学が地元自治体と理数教育で連携を始めた。 小中学生に理科や数学の楽しさを知ってもらうためには、授業をどう工夫したらいいのか。立教大学(東京都豊島区)理学部の学生有志10人が昨秋から、こんな課題に取り組んでいる。 学生たちは2月18日に学内で開いた会議で、授業案を発表した。生命理学科3年生の長岡敦子さん(21)は、生物の遺伝情報を記録しているDNA(デオキシリボ核酸)を軸に、動物や植物の進化の歴史を探る授業を提案した。 「授業の前半ではバナナや鶏肉のDNAを実際に抽出して、後半はヒトとチンパンジーのDNA配列の違いが数%しかない理由を考えるのはどうでしょうか」。長岡さんは「小中学校の理科は日常生活との関連が薄く、子供たちは学ぶ意味がわかりにくいのでは」と考えた。人間も他の生物と同じDNAを持っていることを、子供たちに実感してもらいたいという。 物理学科3年の小林裕和さん(22)は画用紙とおはじきを使った簡単な実験で、円周率を求める授業案を発表した。「自分の手を動かすことで、円周率が求められます。子供たちに数学を身近に感じてもらうための工夫です」と小林さんは語る。
授業案作りは、立教大と豊島区が今年4月から本格的に始める「理数教育連携プログラム」の準備作業のひとつ。授業案は小中学校の理科教師のアドバイスも受けながら改善し、豊島区内の小中学校で披露する。プログラムは、子供たちの理数離れが進む中、魅力的な教材の開発や理数系の教師の研修などに協力し、区内の科学教育全体を活性化するのが狙いだ。 責任者である北本俊二・理学部教授(48)が、その背景を説明する。 「立教大学が地域の理科教育に参加することはこれまでほとんどありませんでしたが、小中学校の教師に聞くと、彼らは教えにくいテーマを外部のアイデアを借りて何とかしたいと思っている。学生も教えられるだけでなく、教える体験をすることで、自分の科学知識を問い直し、企画力や実行力も養う機会になると考えました」 大学側も今後、こうした学生の活動を正式な教科として単位認定するほか、北本さんらが小中学校の教師と継続的に会合を持ち、教育現場の課題を共有して解決策を探る方針だという。
地域貢献は他の大学でも始まっている。 早稲田大学は昨秋から、教授陣を地元の新宿区立中学に派遣し、理科実験を通じて子供たちに理科の楽しさを教える事業を始めた。京都大学も昨秋、理科系教授陣約15人を「科学探偵士」や「IT(情報技術)の達人」に認定、京都府内の小中学校に派遣する事業をスタートさせた。 長らく「象牙(ぞうげ)の塔」とやゆされてきた大学による地域貢献。その壮大な実験はどんな結果を生み出すのか。答えが出るのはこれからだ。(中島達雄) 大学の地域貢献 教育や研究と並んで、大学に求められる役割のひとつ。1998年に文部省(当時)の大学審議会が答申した「21世紀の大学像と今後の改革方策について」の中で、大学と地域社会との連携推進がうたわれたことなどをきっかけに、各大学の取り組みが盛んになりつつある。18歳人口の減少や大学志願者の伸び悩みなども背景にあり、各大学が入学者獲得を目指して個性を競う分野になっている。 (2006年3月8日 読売新聞)
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