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エリート養成

(16) 一流選手への近道充実

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開校式の後、さっそく練習するアカデミーの生徒

 スポーツ界でも選手の英才教育が本格化している。

 「一流選手になるだけでなく、一流の人間に育つよう努力してほしい」

 日本サッカー協会(JFA)の川淵三郎会長が、8日に行われた「JFAアカデミー福島」開校式で、入校生に語りかけた。

 サッカーエリートとしての教育を受ける1期生は、全国から集まった。男子が中学1年生ばかり17人、女子は中学1年〜高校1年の23人。男子は27倍、女子も9倍の難関だった。

 練習拠点は、日本代表選手やJリーガーらも利用する福島県の施設Jヴィレッジに隣接するグラウンド。地元の楢葉、広野両町がアカデミーのために作った。

 生徒は、近くの寮で共同生活をしながら、町立中学校や県立富岡高校に通う。学校の部活動には参加せず、放課後はJFAのコーチから指導を受ける。アカデミーでの朝の練習は、中学で週1時間、高校で週2時間、体育の授業に換算され、JFAのコーチが高校に講師として出向いて指導もする。最大でコーチの指導によるサッカーの練習が週12時間まで単位になる。

 富岡高校には今年度から「国際・スポーツ科」が誕生。筋力トレーニングの理論と実践を学ぶ科目や「異文化理解」「生活英語」といった科目もできた。

 一方、JFAでは、月1回、専門家を招いたコミュニケーション技術の講座を開く。最前線で活躍する人の講演会やボランティア活動の時間なども開きたいという。

 JFA技術委員長でもある田嶋幸三校長も「人間として優れた選手でないと、世界で通用しない。アカデミー生全員がプロになれるわけではない。サッカー以外の分野でも、先頭に立って社会に貢献する人材を育てたい」と語る。

 ジュニア世代の英才教育では、フィギュアスケートが、今回のトリノ五輪で一躍有名になった。1992年にスタートした合宿で、金メダリストの荒川静香選手を発掘したからだ。

 サッカーより1年早く、日本バレーボール協会も動いた。“東洋の魔女”と呼ばれた東京五輪の金メダリストを輩出した旧ユニチカの地元、大阪府貝塚市にアカデミーを開校、現在、女子中学生計14人が共同生活を送る。日本バレーボール協会の豊田博・特命理事は「親元を離れて共同生活をする中で人間的に大きく成長した」と自信を見せる。

 国のスポーツ振興基本計画で、ジュニア世代の一貫教育が掲げられたのを受けて、日本オリンピック委員会(JOC)も、ナショナルトレーニングセンター(東京都北区)に、近い将来、寄宿制のエリートスクールを設ける。サッカーのように団体ごとに運営できない競技が対象だ。

 ここでも、倫理学やコミュニケーション技術、インタビューに受け答えする技術など人間教育の実施が検討されている。

 世界を目指す若者たちの「夢をかなえる近道」(JFAアカデミー福島1期生の一人)が広がろうとしている。(松本英一郎)

 スポーツ振興基本計画 旧文部省が2000年に策定した。五輪でのメダル獲得率を上げるため、一貫教育システムの構築、トレーニング拠点の整備、有能な指導者の養成・確保などが不可欠としており、この方針に沿ってナショナルトレーニングセンターも整備されている。

2006年4月22日  読売新聞)
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