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(17) 科学者の卵 支援が課題写真の拡大
![]() ISEF出場に向け外国人講師らから発表の仕方を学ぶ下山せいらさん(左)
科学研究で飛び抜けた成果を上げた高校生を、研究者や企業が支える。 先月29日、東京・丸の内にある半導体メーカー、インテルの会議室に、独創的な科学研究で全国から選ばれた高校生6人が集まった。来月に迫った世界最大の学生科学コンテスト「国際学生科学技術博覧会(ISEF)」に備え、4日間の研修に参加するためだ。 プラナリアという淡水に住む体長1、2センチの水生生物の図や表が何枚も張られた壁の前では、埼玉県立浦和第一女子高校3年の下山せいらさんが、英語で自らの研究内容を懸命に説明していた。「図があるんだから、実験からわかったことを簡単に説明した方がいい」。ふだんは同社社員に英会話を教える外国人講師が英語で指摘する。 米国で開かれるISEF会場で、審査員を前に行う5分間スピーチの練習だ。 とぼけ顔のプラナリアに一目ぼれした下山さんは高校1年から、その研究を始め、国内最大の科学コンテスト「日本学生科学賞」で今年、文部科学大臣賞を受賞。その実績が認められ、出場が決まった。 プラナリアは水生昆虫などを食べる。下山さんは、視覚が発達していないプラナリアがエサに近づく際、口から管を伸ばす動きに注目。その行動を促す物質が、エサの細胞に含まれるグリコーゲンで、それを感じ取る部分が口の周りにあることを詳細な実験を重ねて突き止めた。実験動物としてくわしく調べられているプラナリアだが、専門家も知らなかった新事実だ。
下山さんらは研修で、英文の展示パネルの作成手法なども学んだ。ISEF出場経験者が後進を支援するために設立したNPO「日本サイエンスサービス(NSS)」(名古屋市)所属の大学生や研究者たちも、付きっきりで協力した。 一線の研究者も支援してきた。たとえば下山さんは、プラナリア研究の第一人者である京都大の阿形清和教授に助言を求めた。日本学生科学賞の審査員だった埼玉大の町田武生教授には、研究要旨のまとめ方も教えてもらった。 「こうした支援がないと、国際的な賞には結びつかない」。そう断言するのは、NSSの代表理事で、ISEFで審査員も務めた高知大の高橋正征教授。「日本の教育は高校生に高校生レベル以上の研究を求めておらず、国際的に見てハンデは大きい」と指摘する。 欧米や中国などでは、国を挙げて優秀な人材を育成している。コンテストの上位入賞者には奨学金を与え、大学入試も優遇する。一方、日本では、理科教育の重点校指定「スーパーサイエンスハイスクール」制度で学校の底上げを図ってはいるが、個人を支援する制度はほとんどない。 しかも、優れた研究実績を上げても、大学入試のため研究中断を余儀なくさせられる。下山さんも「実験ばかりやっていたから、受験は悩みの種」と顔を曇らせた。世界と肩を並べる科学エリートの育成。その道のりは、まだまだ遠い。(松本由佳) ISEF 1950年創設。インテルが資金援助し、米国で年1度行われている。45の国と地域で代表に選ばれた科学者の卵たち約1500人が、大学の博士論文に匹敵する研究成果を発表する。ノーベル賞受賞者など約600人の研究者が審査し、最優秀賞の3人には賞金各5万ドル(約600万円)が贈られる。日本からも毎年出場し、昨年は千葉県の石川美穂さん(八千代松陰高)が日本初の優秀賞に輝いた。 (2006年4月25日 読売新聞)
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