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(13) 映像作りで読解力向上

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バーコードを読み取り、映像を編集する「ムービーカード」を試す倉田総務局長(テレビ信州で)

 映像の制作体験を通してメディアを読み解く実践が広がる。

 会議室の机には、写真とバーコードを印刷したカードが何十枚も散らばっている。写真には、ほえる犬や、木の上で柿を食べるクマが写っていた。

 メディア教育の教材開発に取り組むテレビ信州(本社・長野県松本市)の研究組織「信州メディアリテラシーネット」が先月、長野市内で開いた会議。バーコードは、ニュース番組「軽井沢のクマ問題」を、シーンごとの短い動画映像に分けてパソコンに取り込み、そのデータと連動させている。写真はその1カットだ。

 複数のカードを読み取ればパソコン上で映像をつなぐことができる。例えば、犬のカードの次にクマのカードを読み取ると、あたかも住宅街に現れたクマに向かって犬がほえているように思わせる映像になる。

 「ムービーカード」と名づけられたこの仕組みの考案者は、愛知県在住のメディアアート作家、杉本達應さん(30)と宮原美佳さん(29)。その説明に、教員や放送の専門家ら10人ほどのメンバーが耳を傾けた。

 「組み合わせ次第で様々な物語が作れるし、映像の編集作業を話し合いで進められる」(宮原さん)から、楽しみながら制作側の意図を学べるというわけだ。

 同局では5年前から、映像制作を通じ、番組を主体的に読み解く力をつけてもらう出前授業を、県内の中学や高校などで開いてきたが、教材作りにまで踏み込んだのは今年から。年度内の完成を目指している。

 他局に先駆けてメディアリテラシーに取り組むきっかけとなったのは、1994年の「松本サリン事件」だ。現場近くに住む会社員を犯人扱いする報道をしたことを反省し、検証番組を制作、県立高校放送部の取材も受けた。

 「明らかにテレビに不信感を抱いている女子高校生を前に、このままにしてはいけないと痛感した」。当時報道部長だった倉田治夫総務局長(57)がふり返る。その思いが、「受け手」の側の教育を手がけることにもつながっていった。

 

 「映像作りは読解力の向上につながる」と川崎市立宮前平中学校の中村純子(すみこ)教諭(45)が語る。

 担当の国語で、新聞とテレビのニュースを比較したり、俳句を写真で表現したりと、映像を積極的に取り入れてきた。パソコンで映像素材を自由に並べ替える教材を作り、それを使った作文の授業もしている。

 メディアリテラシー教育が盛んなオーストラリアも視察。「国語に、映像を読み解き、実際に作る単元がありました。経済協力開発機構(OECD)の学力テストを見ても、メディアリテラシー教育が盛んな国ほど読解力の成績がいい」

 放送部顧問の顔もある。体育祭の裏方を追う作品を制作中の2年の佐塚智史さんらは、徒競走を支える様々な係の活動を編集でつないだ。「彼らの存在を伝えるのに、編集が大きな役割を果たすのを知った」と佐塚さん。中村教諭の指導が息づいている言葉だ。(松本由佳)

 テレビ局も教育活動

 テレビ局自身による、メディアを読み解くための教育活動は、キー局などにも広がっている。読売テレビ(大阪)では子供と制作者が語り合う「こども番組審議会」や番組作り体験講座に取り組み、テレビ朝日(東京)は昨年から始めた出前授業がすでに100回を超す。TBS(同)は、「まず母親に自覚を持ってもらおう」と今月27日、「お母さまのためのメディアリテラシー講座」を開く。

2006年6月15日  読売新聞)
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