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(1) 欠ける朝食 補う学校写真の拡大
![]() 1時間目の休み時間、乳製品をとるためにランチルームに入ってくる旭小学校の子供たち(右端は藤井校長)
朝食を補う食べ物を出す学校が出てきた。 朝食を食べなかった児童が、「気分が悪い」と言って授業を抜け出し、保健室にやってくる。保健室には小さなスティックシュガーが常備してある。児童は水と一緒に砂糖を飲み込むと、再び教室に帰っていく。東京都足立区立足立入谷小学校では、昨年までこんな光景が繰り返されていた。 砂糖を飲むのは、血糖値を上げるためだ。多い時は1日4、5人がやっかいになっていたが、今は常備していない。PTAを通じて朝食の大切さを保護者に訴えたり、生活習慣をチェックするカードを家庭とやりとりしたりした結果、体調不良を訴える児童がほとんどいなくなったからだ。 砂糖提供はあくまで急場しのぎの対策だった。発案者の養護教諭、高島多美子さん(57)が「学校が懸命にやっても、結局、家庭を巻き込まなければ変わらないのです」と力を込める。
朝食の欠食対策は、都会に限らない。山間部の3町が合併して昨年誕生した岡山県美咲町(人口約1万7000人)では、5月から町立の小中学校全8校で、給食とは別に乳製品の提供を始めた。年間約1200万円の費用は町が負担。登校時や1時限目の後、ヨーグルトやチーズなど10種類が自由に飲食できる。 そもそもは、登校に時間を要する児童が多く、朝食から給食までに時間が開きすぎるためだった。1992年に5校を統廃合して誕生した旭小学校(児童数151人)の場合、校区は南北約15キロ、東西約10キロに及び、約9割がバス通学だ。午前7時に自宅を出る子も珍しくない。 今春、藤井義久校長(58)が調べたところ、全く朝食を食べていない児童は2人だけだったものの、約20人の朝食の中身が、パンだけや、おにぎりだけ、という状態だった。乳製品の提供は、学校が栄養バランスの“つじつまを合わせる”という側面も大きい。 4年前の調査では、町内の別の地域で、朝食を抜くことがある子供が2割いたというデータもある。
朝食の補完事業の実施を町教育委員会が説明した場では、保護者から「朝食は親の責任だ」「なぜ学校がそこまでするのか」といった反発があった。批判的な声は今も学校に届く。 ただ、変化も出てきた。例えば旭小では、利用する児童が当初8割もいたが、最近では6割に減った。PTAに協力を求め、今年度の活動目標の柱に「早寝早起き朝ごはん」の推進を位置づけてもらったり、家庭に配る学校便りで、朝食にみそ汁やおかずを1品加えるよう呼びかけたりした。 「利用率の低下は家庭で朝食が改善された結果と信じたい。賛否はあるが、食生活を見直す機会になったのは確かでしょう」と藤井校長はみる。 学校が朝食を補完することで家庭の自覚を促すという逆説的な取り組みからは、啓発だけでは動かない家庭へのいらだちも透けて見える。(木田滋夫) 朝食の欠食率 小中学生計約6200人に昨春、文部科学省がベネッセコーポレーションに委託して実施した調査では、朝食を食べないことがある小学生は14.3%、中学生は21.3%。食べない理由については、日本スポーツ振興センターの2000年の調査で「時間がない」がほぼ半数、「食欲がない」が約3割だった。朝食などの生活習慣と学力の相関性を指摘する調査は数多い。 (2006年6月20日 読売新聞)
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