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食育を担う

(3) 完全米飯「非行減った」

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米飯給食を食べる本原小学校の1年生。大塚教育委員長(右端)は、たびたび上田市内の学校を訪れ、一緒に給食を食べる

 完全米飯給食にこだわり続ける元校長がいる。

 「正しい食生活が子供の心を安定させることを実感したのです」

 長野県上田市の大塚貢・教育委員長(70)が振り返る。合併前の旧真田町で1997年から今年3月まで教育長を務め、六つの小中学校全校で完全米飯給食を実現した。

 米飯には校長時代からこだわりがあった。

 1992年、最初に校長になった他の自治体の中学校は、荒れていた。万引きで補導された生徒を引き取りに、多いときは1日に3回も警察に出向いたことがある。生徒が校舎内をバイクで暴走するような事件もあった。

 そのうち、問題を起こす生徒が朝食を食べていないという共通点に気付き、弁当が必要な球技大会の日の早朝、コンビニエンスストア前に張り込んだ。弁当やパンを買いに現れたのは、やはり非行を起こす生徒だった。

 食生活に非行の一因があると確信した。せめて給食は、野菜のあえ物や煮魚など、健康的な和食を食べさせようと思ったが、こうした料理はパンには合わない。約2年かけて徐々に米飯給食の回数を増やしていった。

 完全米飯化は、改革の3本柱の一つだった。教師同士で授業を公開・評価し合い、命を大切にする心を育てようと、全生徒に種から花を育てさせた。万引きなどの非行は年数件に減り、作文コンクールの全国大会で上位入賞する生徒が現れるなど、学校は落ち着きを取り戻したという。

 旧真田町の教育長に就任すると、今度は全校の完全米飯化に取り組んだ。PTA総会などで「親が給食費を払っているのだから、教育長が決めるべきではない」「子供が好きなものを食べさせたい」などと言われながらも、回数を増やし、02年度に完全米飯化した。

 この間、「生産者の分かる材料を食べさせよう」という町長の願いから、地元産の米や野菜を使い、栄養価の優れた発芽玄米を約10%交ぜるなどの工夫もした。おかずは当然、魚介類が中心だ。

 やはり子供に変化が出た。旧真田町にある市立本原小学校の佐藤裕章校長(59)は「全校集会で貧血で倒れる児童や、不登校の子供はいない」と胸を張る。児童・生徒が約1100人いる旧町全体でも、04年度以降、非行で補導された子供はゼロだ。学力テストも全国平均を上回る。

 ただ、合併で先行きは不透明になっている。4市町村が合併して誕生した上田市の給食は、まだ旧自治体の方法を継続している。米飯給食の回数は旧真田町以外は週3回だし、調理も自校方式と給食センターで行う方式が混在する。将来的に旧真田町の給食も見直される可能性があるわけだ。

 しかし、大塚さんは「完全米飯化の効果は明らか。私が教育にかかわる限り、子供が食べたいものより、食べさせたいものを出し続ける」と信念を貫くつもりでいる。(木田滋夫)

 米飯給食 コメ余りも反映し、「多様な食品を取ることが望ましい」として、旧文部省が1976年度から導入を促している。2004年度には、全国の給食実施校3万1902校のうち99.4%が実施している。回数は、文部科学省が目標として指導する週3回の学校が最多で70.9%。週4回(12.3%)、週2回(11.5%)と続き、週5回の完全米飯化は4.5%(1425校)。

2006年6月22日  読売新聞)
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