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教員採用の現場

(1) こっちへおいで 金の卵

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広島県の採用試験説明会では、観光名所もアピールした(5月、東京都台東区の区生涯学習センターで)

 教員採用試験の受験者確保合戦が過熱している。

 仙台市の中心部にある宮城県民会館に8日、リクルートスーツ姿の学生らが集まってきた。教員採用試験の受験のためだ。宮城県や仙台市の試験ではなく、埼玉県の小学校の1次試験だった。

 埼玉県の来春の採用見込み600人に対し、応募者2136人。このうち75人が仙台での受験を希望し、実際、70人が東北一円から受験した。「5人しか欠席していない。よく来てくれました」と県教委の職員がほっとした表情を見せた。

 埼玉県の昨年の小学校の競争率は3・2倍、一昨年は3・1倍だった。最も高かった1996年だと18・6倍。倍率低下で質の低下が懸念される。受験者を増やす策が異例の仙台出張試験だった。

 なぜ仙台か。東北各県の採用数は少なく、まだ競争率は軒並み10倍を超えるからだ。しかも1次試験の日程は7月25、26日が中心だ。関東地方は7月8、9日に集中する。関東も併願する東北の教員志望者に、関東の中で埼玉を選んでほしいと考えた。

 受験生の中には「仙台に会場がなくても受験していた。近くで受けられて時間的、金銭的に助かった」(宮城県の22歳女性)という声のほかに、「仙台に会場がなければ受けていなかった」(山形県の23歳男性)という声もあって、一定の効果はあったようだ。

 ただ「合格後に埼玉県で教職に就いてもいいという人がどれだけいるのかは読めない。ぜひ埼玉に来てほしい」と県教委小中学校人事課の小林和夫課長。

 採用試験の説明会は、すでに遠隔地の自治体で盛んに開かれている。

 広島県は5月30日、昨年に続いて東京都内で開催。今年は約80人が参加した。

 県の担当者は、厳島神社などの観光名所にも触れて魅力をアピール。今年の新規採用者の体験談も録画映像で披露した。ほかに松江、岡山、福岡、大阪でも同じ内容の説明会を開いた。

 4月15日には、東京都が大阪市内で、大阪府が都内で、それぞれ説明会を開き、受験を呼びかけるという現象も起こった。東京は2003年から、大阪は翌04年から互いの都市で説明会を実施していた。

 大阪府は広島、名古屋、高松でも開催。東京都は名古屋、仙台にも足を延ばした。愛知県も、今年から大阪と東京での説明会に乗り出した。

 自治体が争奪戦を展開するのは、都市部がどこも倍率低下に悩んでいるからだ。人口流入と第2次ベビーブームの子供たちの就学が重なり、1970年代に大量に採用した。こうした教員がすでに40歳代後半から50歳代になっており、次々と退職期を迎えるため、新規採用を増やさざるをえないのだ。

 文部科学省の一昨年の調べでは、全国の小学校教員で最も多いのが2016年度末に退職する48歳。少なくとも今後10年、大量退職が続く。大都市部の獲得合戦は、当分収まりそうもない。(松本英一郎)

 「公立小」倍率、低下の一途 文部科学省によると、全国の公立小学校の採用倍率は、1999年実施の12.5倍をピークに下がり続け、2004年は4.5倍になった。この間、採用者数は3683人から1万1522人と3倍に増えている。採用者数が7839人も増えたのに、受験者数はそれを下回る5817人しか増えていない。なお、公立の中学校は04年で11.7倍、公立高校は14.0倍と、まだ高倍率を維持している。

2006年7月25日  読売新聞)
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