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夏の学校

(14) 外国人の子、日本語特訓

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「ここは消防署です」「あれは何ですか?」。町へ出て日本語の会話の練習をする子供たち

 外国から来た子供たちが日本語を集中して学ぶのも夏だ。

 最初は、自信がなさそうな子もいたが、数日間で教室はすっかり和んだ雰囲気になった。先生の質問にだれかがつまずくと、助けようとして英語や中国語が飛び交う。騒がしくなると「シズカニシテクダサーイ!」と、覚えたての日本語で年上の子が注意する。

 NPO「全国日本語教師会」(本部・東京)が、先月下旬から10日間、東京・新宿で開いた「夏休み親子日本語教室」だった。

 同会は、日本語教育の質の向上や人材育成を目的に一昨年に設立された。夏の教室は、新学期に向け、外国人の子供とその親への日本語学習支援をしようと、昨年度から開いている。

 今年も7か国・地域から来た小中学生とその親ら35人が、自己紹介の仕方や数の数え方など、日常生活で使う日本語を学んだ。7日目の今月8日は、教室を出て町へ。「ここはどこですか?」「交番です」「だれがいるところですか」「警察官です」……。消防署や郵便局など、身近な施設を訪ねながら、にぎやかに会話練習を重ねた。

 4月に韓国から来た黄美性(ハンミソン)さん(9)は教室で積極的に手を挙げて発言していた。母親の李允貞(リーユンジョン)さん(35)も「私にとってもいい機会です」。1月に中国から来た陳鴻楓さん(12)は「学校で友達の言うことがわからなくて困ったことがある。早く日本語が上手になりたい」と願う。

 「日本語教師会」では、親子教室に先立ち、この夏、「外国人児童への日本語の教え方講座」も開催。その受講者が、親子教室の手伝いをしていた。

 「教え方講座」では、日本語指導員や小学校教師、地域のボランティアら10人が7月下旬の5日間、演習形式で学んだ。模擬授業で、子供が知らない単語をどう教えたらいいのか頭を悩ませていた主婦の塩村純恵さん(58)(神奈川県伊勢原市)に講師がこう助言していた。

 「子供たちには『それは何ですか』と聞くようにと指導してください。知識として日本語を教えるのではなく、日本社会で日本人に教えてもらいながら生活できるよう、問題解決能力をつけてあげてください」

 会の広報担当、安西純子さん(29)は「日本語教師は不足しており、学校の日本語指導員も、教職などと兼務の場合が多い。外国人労働者が増え、親の都合で来ざるを得ない子供への支援は非常に手薄だ」と語る。「教室」に孫を参加させた台湾出身の女性も「言葉ができないと学校で仲間に入れてもらえない」。

 親子教室の最終日、子供たちは、「夢はサッカー選手になること」「将来は漫画家になって子供たちを楽しませたい」と、日本語で懸命に書いた作文を披露した。

 会では26日、「教室」に参加した親子を交えた国際交流パーティーも開く。この夏の体験を未来につなげていってほしい。それが、教室の大人たちみんなの願いだ。(松本由佳)

 2万人、日本語の指導必要

 文部科学省によると、公立学校に在籍し、日本語指導が必要な外国人児童生徒数は昨年9月現在で2万692人で過去最高となっている。全国日本語教師会は、全国に支部を持ち、日本語教師やボランティア養成講座を随時開いている。問い合わせは同会(電03・3352・5480)へ。

2006年8月25日  読売新聞)
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