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東大解剖──第2部

(1) 企業と連携 セレブ検診

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高級感あふれる「ハイメディック・東大病院」の待合室

 「古い、汚い、怖い」と言われた東大病院が大変身している。

 外来受付の脇を通って、東京大学の銀杏(いちょう)マークが付いた専用エレベーターで「中央診療棟2」の9階に上がり、エレベーター前のガラス製の扉を開けると、大理石や紫檀(したん)(ローズウッド)張りの床や壁が目に飛び込む。ホテルのような豪華な空間だ。

 先月17日、東京・本郷の東大付属病院内にオープンした会員制の検診施設「ハイメディック・東大病院」。1日14人限定で8時間かけて、最新の陽電子放射断層撮影(PET)やコンピューター断層撮影法(CT)を使い、脳こうそくや心臓病、成人病などの兆候を調べる。

 経営するのは会員制リゾート会社「リゾートトラスト」の関連会社。東大病院は検診を委託される立場だ。異常が見つかると優先的に診察が受けられる。

 入会金と保証金で600万円、年会費25万円だが、既に350人以上の会員が集まった。

 今年9月に完成した「中央診療棟2」の7、8、9階は、22世紀医療センターが入る。東大と企業が連携して、新しい医療サービスを研究、開発する。

 ハイメディックのほか、日立製作所や富士フイルム、コカ・コーラなど22社が寄付講座を提供。佐川急便は、荷物をベッドまで届ける「手ぶらで入退院パック」を、東大限定サービスとして始めた。

 「大学で金持ちの検診を行う必要があるのか」「高価な機器を予防に使っても良いのか」と豪華な検診施設には反発も強かったが、「検診は今後伸びる分野。東大が突破口を開き、学問の中心になるべきだ」(今村知明・東大病院企画経営部長)と、学内を説得して開設にこぎつけた。

 大学の法人化で国からの交付金は、原則として減らされていくため、大学病院にも「経営」が強く求められるようになった。

 人件費のかかる大学病院では、症状の軽い外来患者が来ても、診療報酬が安いため、診察するほど赤字になってしまう。治療費が稼げ、研究面でも欠かせない高度な医療が必要な患者を紹介してもらうため、東大病院は専用窓口となる地域医療連携部を昨春に設置。地域の診療所などから紹介を受けた患者は、優先的に診察が受けられるようにした結果、紹介患者は1000人以上増えた。

 今年4月には接遇向上センターを設けた。「あいさつ、笑顔、身だしなみが基本。相手の目を見て話しましょう」と医師や看護師に言葉遣いやマナーを教える。かつて“タブー”扱いだった化粧法の講習も始めた。看護師出身で、同センター顧問の竹永和子さん(59)は「病院はホスピタリティー(もてなしの心)の元祖。日本航空や帝国ホテルがライバル」と意気込む。

 かつては「入院をためらう」と揶揄(やゆ)された他学部の教授たちからも「最近は診てもらいたいと問い合わせを受けるようになった」。「中央診療棟2」の竣工(しゅんこう)記念式典で広川信隆・医学部長(60)が胸を張った。(杉森純)

 東大病院 1858年に江戸幕府が設けた神田お玉ヶ池種痘所が起源。2005年度の入院患者数は延べ38万7241人、外来患者数は延べ76万4301人で、いずれも国立大学病院で最多。4月現在、職員は2705人(医師759人、看護師884人、技師289人など)。05年度の診療報酬は約292億円で、02年度より約43億円増。退院支援にも力を入れた結果、05年度の新規入院患者は2万1500人と、02年度より4500人増えた。

2006年12月19日  読売新聞)
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