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学校選択

(6) 学校競わせ学力向上

 学校選びの材料に、学力は欠かせない要素だ。

 「先生方が努力してくれた成果ね」。東京都足立区の主婦、高橋志保子さん(43)は昨夏、区立小中学校の名前が並んだパソコン画面を、満足そうに眺めた。春に区教委が実施した学力テストで、長男(15)の中学校は前年から順位を一つ上げて4位だった。学校選択制で学区外の学校に通う。

 区教委は、選択制導入から3年目の2004年から、都や区が実施するテスト結果をホームページで公表している。学校別の都・区平均との比較や前年比も一目で分かる。テストの上位校は、選択制でも人気を集める。新年度の選択で、抽選となった9校中7校が、昨春の区のテストでベスト10に入った学校だ。

 長男の中学もその一つ。「上位の学校は、教師の質も含め、落ち着いて勉強できる環境が整っている」と説明する高橋さんは、口コミ情報の裏付けにもなるため、「テスト結果は出たらすぐにチェックする」。

 もちろん、学力だけが選択基準ではない。今春、長女(12)は、友人が通う地元校に進む。「子供が気持ちよく通えるのが一番。それに地元校も最近は学力が伸びている」

 足立区は学力向上策に頭を悩ませている。04年2月実施の都のテストは小中いずれも23区中最下位。05年度は小学校が21位、中学校は22位だった。

 04年度からは、外国人講師の派遣など、学校独自の取り組みを査定した上で配分する「特色づくり予算」を導入。新年度から、テストの成績で学校をA〜Dにランク付けして配分しようとした。従来の1校平均200万〜300万円が、最大500万円まで増額される仕組みだった。

 この方針が報道されると、抗議が殺到。区教委はランク付けを撤回し、「下位でも頑張った学校が評価されるように」と、テストの伸び率中心の査定にした。

 区教委は「同じ金額を与えても、生かせる校長と、備品を買って倉庫に眠らせる校長がいる。成果の上がる学校を支援する姿勢に変わりはない」と強調。「不振校の切り捨て」の批判には「希望する学校には民間の塾講師を派遣するなどの制度もある」と反論する。

 こうした方針に「力のある学校に、より力がつくのは不公平では」と不安を抱く保護者は少なくない。ただ、学校同士の競争で質を高めていくこと自体には賛同の声も多い。都内のある中学校長は「校長に能力差があるのは確かで、問題意識は理解できる。ただ、下位校への支援をはっきりさせないと、校長の意欲も下がってしまう」と見る。

 区教委は「個人的な意見は誤解を招く恐れがある」と、校長が取材に応じるのを禁じた。その神経質ぶりは、教育委員会が校長の意欲を引き出す難しさも表している。(小坂一悟)

 ▽足立区の区立学校数=小72、中37

 ▽選択制導入時期=小中ともに02年度

2007年1月23日  読売新聞)
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