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(2) 地域と交流 新たな動機に写真の拡大
![]() あきる野市社会福祉協議会で車いすを借り、久保教諭(左)とともに調査にでかける秋留台高の生徒たち=青山謙太郎撮影
社会に役立つ体験は、高校生を変えるのだろうか。 「この歩道、傾いてて怖い!」「押す人が力持ちじゃないと危ないよ」 春休み間近の3月下旬。東京都立秋留台高校(あきる野市)の生徒32人が、車いすに乗ったり、車いすを押したりしながら、学校周辺約4キロの全校マラソンのコースを回っていた。1年生最後の「奉仕」の授業。車いすだと、街にどんな障壁があるかを調べるためだ。 「こんなに歩きにくい道だったんだ」と生徒が驚くのを聞いて、久保淳教諭(48)は「一歩前進」と顔をほころばせた。 同じ時間に、別のクラスは手話、もう一つ別のクラスは救急救命法を学んでいた。担当は1年生7クラスの担任計14人。エンカレッジスクールならではの2人担任制を生かし、「奉仕」も2人1組だ。 教師は、同じテーマの授業を続けて受け持ち、生徒の方が週ごとに、クラス単位で違う授業を受けていく。クラスリレー方式と呼び、2年前に教科「奉仕」のパイロット校に指定されて以来続いている。奉仕専門の教師はいないが、教師は毎週違う授業をする必要がない分、教師自身の理解度も高まる。
◎ 久保さんは生徒指導を担当してきた実績を買われ、「奉仕」の責任者となったものの、自身にボランティア体験はなく、当初は途方に暮れた。しかし同時に、無気力な生徒が目につき、中退者も少なくない現状を変えるきっかけになると直感した。 「学校外で生徒に自信を持たせる場を作りたい」と手分けして地域を回り、清掃や山林の下草刈り、行事参加などの体験の場を用意した。当日の付き添いだけでなく、事前準備や事後の学習も欠かせない。 特に「人とのふれあい」には気を配る。地域清掃への参加でも、教師が事前に何度も町会の役員と会い、生徒の現状や奉仕の狙いを説明することで地域の受け入れムードが高まった。当日は、生徒と住民が混成チームを組み、ほうきとちりとりを持って町内を回る。 「ありがとう」「助かったよ」。町内会メンバーからかけられる言葉に、生徒たちは素直に喜ぶ。「感謝される、褒められるという体験が、次の奉仕活動の扉を開けてくれる」と久保さんは期待する。 だが、昨年度も中退者は減らず、初見豊校長(54)も「生徒の自信を作るまでには至っていない」と認める。
◎ 東京大学の甲斐一郎教授(公共健康医学)と客員研究員の新垣円さんらが昨年5月と11月、複数のパイロット校の約600人に意識調査をしている。まだ、中間まとめの段階だが、生徒は11月の方が、奉仕活動を「面倒」で「強制的」ととらえる傾向が見られた。 体験内容が生徒の興味に合い、意義を理解できる活動や、人にかかわる活動の方が満足度が高い結果が出ている。新垣さんは「事前に生徒の興味を把握し、関心と合った選択肢を用意することが必要だ」と指摘している。(松本美奈) エンカレッジスクール エンカレッジは英語で「勇気づける」という意味。基礎学力や基本的な生活習慣の面で課題を抱える生徒を励まし、潜在的な能力を伸ばすことを目的に2003年に始まった。2人担任制、基礎重視の教育課程、30分授業、体験学習の充実などが特徴。現在は足立東、秋留台、練馬工業、蒲田の4校が指定を受けている。 (2007年4月18日 読売新聞)
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