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ネット モラル

(2) 顔見えぬいじめの恐怖

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メールや電話でいじめの相談に乗る全国webカウンセリング協議会の安川さん(右)ら。左手前の画面は心理テスト「CVCL」

 だれの仕業かわからないことが、ネットいじめの最大の恐怖だ。

 「(いじめメールを送ってくるのが)学校の生徒全員だったら、と思うと、とても怖かった」

 東京都内に住む店員の男性(19)は、2年前の不安と恐怖を語り始めた。

 高校2年だった。異変は、勉強に身を入れるため、夏休み前、バレーボール部を退部した直後に起きた。出会い系サイトなどからとみられる迷惑メールが携帯電話に1日、30〜40通も入るようになったのだ。

 しばらくすると、メールは1日100通以上に。怖くなってアドレスを変えたが、同じことの繰り返し。「アドレスを知っているのは友達だけなのに」。その友人のだれかの仕業に違いなかった。

 退部でトラブルがあったわけではないが、夏休みの終わりには「裏切りもの」「もう学校へ来るな」といったメールも来るようになった。「死ね」と何度も繰り返したり、おどろおどろしい装飾を施したり。メールが届くのは夜。送信元アドレスをみても、偽装されていてわからない。

 「最初は、こんなもの、と思ったが、3日でだめ。2学期からは怖くて学校に行けなくなった」。ネット上の掲示板でも名指しされている自分を見つけた。

 男性は軽いうつ症状になり、秋には携帯電話を解約した。補習や試験の時には勇気を振り絞って登校したが「静かな、いつも通りの学校の様子が、かえって恐怖だった」。3年進級だけはしたいとの思いが、かろうじて支えになった。

 進級が決まった昨春、ネットで全国webカウンセリング協議会を見つけ、電子メールで相談したのが転機になった。

 人と会うのは怖かったが、メールなら相談ができた。そこで、親しい友人に打ちあけて力になってもらうこと、進級でクラスや友人など環境が変わったことを前向きにとらえることといった助言を得て、再び登校できるようになった。「いじめられたのも、助けられたのもネットだった」と男性は振り返る。

 同協議会でカウンセリングをしている安川雅史理事(41)は「普通のいじめなら、相手の生徒を避けるという対処法もあるが、匿名で行われるネットいじめには相手が見えない恐怖がある。いじめられていることを早めに察知し、手を打つことが肝心だ」と強調する。

 協議会では、ネットいじめを受けている無言のサイン、いじめがわかった時の親や学校の対応などを記したマニュアルを無料配布している。また、安川さんが評議員を務めるNPO法人の次世代育成ネットワーク機構では、いじめを受けていないか判定できる心理テスト「CVCL」を開発し、4月から提供している。

 「保護者や教師にとって何より大切なのは、普段から子供や生徒の心の状態を把握すること」と安川さん。ネット時代も、現実の世界で子供をしっかりつかんでおくという基本は変わらない。(吉田典之、写真も)

 全国webカウンセリング協議会 不登校やひきこもり、ニート問題に取り組んできた三つのNPO法人が2005年に作った。会長は多湖輝・東京未来大学学長。子供やその家族が対象のカウンセリングとともに、カウンセラーの養成も行っている。メールによるカウンセリングはwebカウンセリングルーム「みらい」(http://www.web-mind.jp/c_room/)から。

2007年5月30日  読売新聞)
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