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ネット モラル

(11) チャット作法 授業で伝授

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チャットでの変な書き込みに驚く美濃山小の4年生。視線の先には画面を映し出したスクリーンがある(伊東広路撮影)

 情報教育の授業は進化している。

 「だれだ? これ」

 パソコンの画面で「先生」という名の書き込みを見つけた児童がつぶやいた。京都府八幡市立美濃山小学校の4年1組は先月30日、コンピューター室で「海と山がどちらが好きか」をテーマにチャット(文字による会話)をした。

 異変が起きたのは開始から10分後。担任の長谷部江美教諭(28)は自分のパソコンを離れている。正体不明の発言者にクラス全体が大騒ぎになった。子供たちは一か所に集まり、「なりすまし」がクラスにいないと確認。職員室で誰か書き込んでいないかも、当番が確かめにいった。

 「こんな時はどうしたらいいかな」と長谷部教諭。

 “犯人”は、別の小学校にいた。同時進行で行われた八幡第三小学校6年2組の授業で、松原岳生教諭(32)がなりすまし役をしていたのだ。

 三小では前週に同じ授業を経験していた。興奮して攻撃的な言葉を書き込む児童もいた。三小の児童は、画面上で身元を明かした後、前週の反省も踏まえ、美濃山小の4年生に、悪口を言わない、個人情報を出さない、なりすましがいるとわかったら会話から抜けるといった注意点を伝えた。

 三小では、松原教諭が、文字だけのチャットと、会って話すことの違いを考えさせ、顔の表情や声の調子など、言葉以外の要素も大切なことを確認させた。

 八幡市教育研究所は、小中学校を通した情報教育のカリキュラムを2年かけて作成。15ほどの授業例を開発した。

 「情報モラルは、人と人とがつきあうための基本的な礼儀作法。国語や理科と同様、系統的、継続的に教える必要がある。どの学年で何をするのが効果的か見極め、子供たちが夢中になれる授業モデルを広げたい」と、まとめ役の富永直也・八幡小教頭(52)が意欲を見せる。すでに、小学校で授業を受けて進学した中学生は、他の生徒と考え方や行動に差が出るといった効果が見えるという。

 〈家族が緊急手術で輸血の不足分を1時間以内に集めなければならない。携帯電話でメールを出せば多くの人に早く回るが、病院に問い合わせが殺到し、業務を邪魔してしまう危険がある。必要以上の人に回り、不快感を与えたり、後で非難されたりするかもしれない。さてどうするか〉

 こんな課題の授業や、ゲーム形式の補助教材を開発するのは、東京工業大学の松田稔樹准教授(47)と東京経営短大(千葉県市川市)の玉田和恵准教授(43)だ。東工大付属科学技術高校(東京)で情報モラルの基本習得の効果を測っている。

 判断基準は四つ。「法律的な問題はないか」「人に迷惑をかけないか」「自分に被害が起こらないか」「技術的な問題がないか」。「未知の問題に対応できる、応用の利く方法を考えたい」(松田准教授)。

 情報モラルの教育は、学校によって熱心さがまちまちだ。現実社会を生きる上で、もっと重視されていい。(吉田典之)

 情報モラルの教材 財団法人コンピュータ教育開発センターは「ネット社会の歩き方」(http://www.cec.or.jp/net-walk/)で、学校で使える教材を紹介している。日本教育工学振興会では、文部科学省の委託を受け、モデルカリキュラムや全国各地での取り組みをまとめ、「『情報モラル』指導実践キックオフガイド」として5月に全国の小中高校に配布した。

2007年6月12日  読売新聞)
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