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(13) フリーライター・渋井哲也さんに聞く…間違いながら学ぶ知恵

 フリーライターの渋井哲也さんがネットとのつきあい方を語る。

 いまも昔も、子供は、失敗することで、何が悪いか学びながら成長する。なのに社会は間違いに対する寛容さがなくなっている。家庭や友人関係、学校、会社など、現実世界の中に、自分が自然に落ち着いていられる場所がない。

 「そんな生きづらさを感じている若者は、薄く広く、潜在的に存在する」と渋井さんは見る。

 電子掲示板で声を集めて、実際に会うという取材スタイルを、1998年から続けている。自分自身の経験に照らしながら、生きづらさをテーマに、子供や若者の問題や、インターネットのコミュニケーションの問題についてペンをふるい続けてきた。

 渋井さんのホームページには、学級委員や、成績優秀な「いい子」の女子生徒が相談を書き込んでくる。あるいは、学校でいじめがあって、傍観者として何も出来ない自分の無力感を訴える相談も届く。自分への嫌悪感が、援助交際や自傷行為、過食に結びついていることもあるという。

 そんな子供たちの中には、ブログ(日記風ホームページ)を書くことやゲームにはまること、大人が「有害」とするサイトに行って悪い子を演じることでバランスをとっている子もいる。

 だからこそ、「間違いを起こしながら学ばせるという発想を持たないとだめ。有害だから遠ざけることは疑問です。ネットの世界だけを切り離して見るのではなく、現実の世界と合わせて考えることが必要。だが、そこまでできる大人は少ない」

 インターネット上の出会い系や犯罪関連サイト、裏掲示板などを、「有害」サイトとして規制する動きが高まっている。しかし「情報を制限し、遠ざけるだけでは問題は解決しない」と渋井さんは指摘する。

 「どうしたら、落とし穴にはまりこまず、上手にネットを活用していけるかを考えたい。利用者教育に力を入れるべきだ」

 例えば、「有害情報」の代表格と見られている出会い系サイトにも「子供は、他の人と知り合いたいものだし、知り合えば会いたくなるのが自然」という見方をする。子供たちは、雑誌の文通コーナー、ポケベル、伝言サービス――と時代ごとに、「出会い」のために通信媒体を駆使してきた例を挙げる。

 さらに、出会い系に限らず、ゲームサイトなど、利用者同士の交流が出来る場であれば、実際の出会いにつなげることもできる。

 もう一つの「有害情報」と見られる自殺に関するサイトにも、生に絶望した人たちがつらい気持ちを吐き出し、最後の一線で持ちこたえる機能がある。「一方的に有害と決めつけてほしくない」と、何人もの自殺志願者に会って話を聞いている渋井さんは訴える。

 「ネットを通じた出会いの危険性を知り、トラブルを避けるためのマナーや知識、実際にトラブルに巻き込まれた時の方法を子供に身につけさせることが大切。ある情報だけを単純に制限すればいいという考えは間違っている」

 しかし、ネットは日々進化しており、子供が利用するネットの実態に親や教師が追いついていけないのが実情だ。「でも、実態を知る努力をせずに規制をして事足れりとする姿勢ではいけない。利用者教育は、実態をよくわかった人が担うべきだ」と指摘する。

 一方的に悪者を作るだけでは何も解決しない。(聞き手・吉田典之)

 しぶい・てつや 東洋大卒。長野日報社を経てフリーに。著書に「出会い系サイトと若者たち」(洋泉社)「『ケータイ・ネット』を駆使する子ども、不安な大人」(長崎出版)、「若者たちはなぜ自殺するのか」(同)。37歳。

2007年6月14日  読売新聞)
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