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(14) 真の情報は「足で稼ぐ」写真の拡大
![]() 「ウェブシティさっぽろ」に掲載する原稿をノートに書く杉山耕生君(右)と、耕生君が撮影した写真を見る父親の幹夫さん
自分の目で見て、考えを伝えることが情報発信の基本だ。 札幌市の情報を発信するサイト「ウェブシティさっぽろ」を制作するNPO法人シビックメディアのオフィスで、市立宮の森中学校2年の杉山耕生君(13)が、鉛筆でノートに原稿を書いていた。 「『飲む』は漢字でどう書くんだっけ」と質問した相手は、父親でサイトの編集長の幹夫さん(43)だ。幹夫さんはキーボードから手を離し、書き順を教えた。 耕生君は、ウェブシティさっぽろの中の市立円山動物園のコーナーで「近所の中学生の日記」を担当している。いわば幹夫さんの私設記者だ。毎週末のように動物園を訪れ、イベントに参加したり、世話の様子を見学したりして話題を見つける。原稿を書くのは普段は自宅だ。幹夫さんに渡し、スタッフがパソコンに打ち込む。 耕生君に、手書きで原稿を作らせているのは「言いたいことを簡潔に書く訓練が身につくから」。同時に「ネットに頼らず、自分で見たり感じたりしたことは、世界のどこにもない自分だけの情報。情報発信をすることの自信や責任を身につけることにもなる」と幹夫さん。 大学で市民ジャーナリズムやメディア論も教える幹夫さんは、パソコンを使わないことは時代遅れではなく、むしろメディアリテラシーを身につける点でも大切だと話す。 幹夫さんは「なるべく子供と一緒に過ごす時間を多くしたい」と家庭にもパソコンを置かない。少々の不便はあっても、親子の充実した時間があれば、将来もネットの落とし穴にはまる心配はなさそうだ。
ネットを使えば大量の情報が瞬時に集められる。だが「頼り過ぎると、自分で考える力が育たなくなる。著作権の侵害にもつながる」と、東京都北区立西ヶ原小学校の野間俊彦副校長(52)が指摘する。 3月まで勤務していた区立赤羽台西小学校で、ネットモラルに関する授業に取り組んできた。 6年生の社会科で、歴史上の人物をネットで調べさせ、リポートを作らせたことがある。紙に印刷し、ネット上の情報をそのままコピーした場所に下線を引かせると、ほとんどが下線になった。難しい用語や漢字の読み方も、意味もわからない。 「これって君のもの? 人のもの?」と聞くと、児童は「人のもの」だとしっかり理解するという。「基本は人のものを勝手に使うのはやめようよ、ということ」(野間さん)。情報モラルの指導は、特別な授業を作らなくても、工夫次第で出来ると訴える。 最近は大学生でも、ネットからコピーしたリポートが問題になっているが、ネット上の膨大な文章も、人々が少しずつ書き込み、積み重ねてきたものだ。 「事典や本を調べたり、人に聞いたりするのは手間がかかるが、自分で考え、まとめる力を育てる」 自分の力で発信したものは、ネットの世界でも、数限りない情報の中のかけがえのない一部になるはずだ。(吉田典之) メディアリテラシー インターネットやテレビ、新聞、雑誌など「メディア」に流れる情報の真偽や重要性、意味などを読み解く力。特にインターネット上には膨大で多様な情報が流れており、正しい情報を見抜き、集めるための知識や判断力が求められる。また、正しい情報を発信する能力も、リテラシーの一つとして重要。 (2007年6月15日 読売新聞)
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