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(11) 発達障害 個別の支援写真の拡大
![]() 発達障害の学生支援について、校医や精神科医、看護師らが綿密な情報交換をしている(上智大の保健センターで)=片山圭子撮影
大学も発達障害など多様な学生への対応を迫られている。 「授業に集中できず、注意した教員に衝動的にペットボトルを投げつけた」「実習で指示されたことと違う作業をすすめ、周囲の学生が困っている」「何度も同じ質問を繰り返して授業が進められない」 東京都内のある大学のカウンセラーは近年、発達障害の可能性がある学生への対応に苦慮する声を、同僚や他大学の教員からよく耳にするようになった。 「大学の教員は『あいつはダメだ』とレッテルを張ってしまい、学生の発達障害に思いが至らない傾向が強い。入学時に情報があったらいいのにと思う」 国立特殊教育総合研究所(当時)が2005年、大学、短大、高専の学生相談担当者などに行った全国調査では、過去5年間で、761校の30%が、発達障害の診断があるか、疑いがある学生の相談を受けた。 相談内容の多くが「友人とうまくつきあえない」「時間割の自己管理ができない」など、大学生活上の困難の訴えだ。自由な履修計画やゼミの討論など、高校までとは違う学習環境になじめず、戸惑う様子が浮かびあがってくる。
上智大学(東京都千代田区)では、保健センターが新入生全員に行っている、心の健康度を診るテストで、悩みを持つ学生の中に発達障害の学生が含まれることが分かってきた。昨年10月の時点で、学内で把握した発達障害のある学生は可能性も含め28人で、保健センターで支援している20人中14人はテストを機に診断につながったケースだった。 センターの東桂子・主任医師(53)は、「教職員の理解が第一」と昨年、発達障害の専門家の講演会や教授会での発達障害の説明会を開いた。その結果、教員からの相談も増えてきたと言う。 だが、支援の方法は試行錯誤だ。聴覚や視覚障害、肢体不自由の学生に対しては、学生ボランティアなどによる支援が広がりつつあるが、発達障害では抱えている問題に個人差が大きく、具体的に何をすべきかイメージしにくい。学生自身が「周囲に知らせたくない」と希望する場合も多く、学生の集団の中で浮いたまま悩みが改善されない場合も多い。
情報共有も課題だ。関東地方のある小規模私大では、学生支援室の担当教員が新入生約150人全員と面接し、発達障害が疑われる学生の情報を教職員で共有しようと考えた。しかし、「守秘義務」や「個人情報保護」が口実になり、情報が伝わらない現状がある。 支援室では「情報共有こそ支援の基盤」と考えるが、高校までの生活や指導の実態は大学には伝わってこない。このため、学生や保護者への聞き取り調査で、過去の指導や不登校、いじめ経験などの「カルテ」を作り、個別の支援計画を模索する。 「大学はいわば、社会へつながる最終関門。排除せず、周囲に理解を広げていくことが重要」と支援室の担当者。大学が、個々の学生の事情にきめ細かく対応せざるを得ない時代に入った。(片山圭子、中西茂) 発達障害 文部科学省の定義によると、全般的な知的水準の発達に遅れはないが、読み書き計算や推論する能力のうち、特定のものの習得や使用に困難を示す学習障害(LD)、発達に釣り合わない注意力、または衝動性、多動性を特徴とする注意欠陥・多動性障害(ADHD)、特定の事象にこだわりが強い特徴を持つが、知的発達の遅れを伴わない高機能自閉症などがある。何らかの中枢神経系の障害が原因とされている。 (2007年7月17日 読売新聞)
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