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先生の「夏休み」

(6) 研究指導 学期中並み

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堀川高の研究棟「本能館」で、実験方法を指導する飯沢教諭(右)

 生徒の研究活動は、夏も教師が支えている。

 本能寺跡にあることから名前が付いた京都市立堀川高校の研究棟「本能館」の生物実験室は、7月31日の午後8時を過ぎても明かりがついていた。

 海外の姉妹都市の高校生との共同実験を3日後に控えた自然科学部員10人ほどが、液体の濃度測定器を試作したり、実験手順の英文マニュアルをパソコンで作ったりしている。自然科学部の顧問である飯沢功教諭(32)は、ハンダごてや電子基板、専門書などが雑然と置かれた机の間を歩き回っていた。

 「マニュアルの写真が違っている。急いで撮り直して」。早口に指示を出した直後、別の生徒が「コンデンサーが足りません」と相談を持ちかけてきた。実験室は活気に満ちていた。

 飯沢教諭は、学校が夏休みに入ってから、日中は3年生対象の「進学補習」とその教材準備をし、夕方以降は本能館にこもる日が続いている。午後10時ごろまで残ることも珍しくない。

 この日は午後4時すぎ、校長室の隣にある会議室にいた。堀川高校は理数教育の先進校「スーパーサイエンスハイスクール」(SSH)の一つだ。2日後に横浜市で開かれるSSHの研究発表会で、生徒2人が実験結果を発表する。教頭ら7人で、その発表のリハーサルに立ち会うためだ。

 テーマは、幼虫のえさにするために昆虫を捕まえる「狩りバチ」の生態について。実験を指導し、発表会にも引率する飯沢教諭は、リハーサルの司会進行役を務めた。

 生徒たちがパソコンやスクリーンを使って15分間の発表を終えると、教員から「実験は、実際の生息環境にどれぐらい近づけたのか」「仮説を立てるための実験なのか、仮説を立証するための実験なのか」といった厳しい質問が相次いだ。生徒が答えに窮する一幕もあったが、本番を想定して、あえて突っ込んだやりとりをしている。

 約1時間のリハーサルの後、飯沢教諭は発表内容の微修正を生徒に指示し、足早に本能館へ向かった。

 改革の成功で「堀川の奇跡」と呼ばれる堀川高。その看板になっているのは、研究活動をカリキュラムの柱として8年前にできた専門学科「人間探究科」と「自然探究科」だ。生徒の研究は夏休み中も続くため、飯沢教諭には、部員だけでなく、生徒の相談に乗ったり、実験の準備をしたりする仕事もある。

 この日午前も、気象を研究している生徒のために発注していた40本の鉄パイプが業者から届き、台車で本能館に運び込んだ。これでやぐらを組み、風速計や温度計を設置する。

 「全国には、堀川高生のような実験をやりたくてもできない高校生も多い。頑張って『探究活動』を支えれば、ほかの高校にも波及するのではないか、という思いで動いています」

 自然科学系の行事や研究の指導に追われる教員にとって、夏の生活は学期中とあまり変わらない。(木田滋夫、写真も)

 スーパーサイエンスハイスクール 文部科学省が2002年度から始めた科学技術分野で活躍する人材を育てるための取り組み。理数系教育に積極的な高校を指定し、実験機材の購入費などを支援する。指定期間は5年間。今年度は101校が指定された。

2007年8月28日  読売新聞)
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