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「道徳」の力

(4) 生徒会と連携 改革進む

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素手素足でトイレを磨く貝塚第四中の生徒たち

 生徒会活動との連携プレーが学校を変えた。

 放課後、体操服姿の生徒約400人が掃除用具を手に校内に散った。廊下の床を磨く子、ぬらした新聞紙で窓をふく子……。トイレ担当は素手に素足で、便器の内部や床を黙々と磨き上げていた。

 大阪府貝塚市立第四中学校の学校クリーン作戦と題した清掃活動は、生徒会が年間13回、約1週間ずつ行うキャンペーンのたびに行われる。初日の1時限目は必ず全校集会、2時限目には道徳の授業がある。

 数年前まで、四中のトイレの個室には、トイレットペーパーが備え付けられていなかった。ペーパーの持ち去りやいたずらが絶えなかったからだ。清掃のたびにたばこの吸い殻が山と集まった時代もあるが、今や「ピカピカのトイレ」が改革を象徴する存在だ。

 同校が大阪府の道徳教育推進事業研究校に名乗りを上げたのは2004年。生徒会活動と連動した道徳のカリキュラムづくりを始めたことで、改革の歯車が回り始めた。

 キャンペーンは「仲間づくり」「体育大会を成功させるぞ!」といった目標を、その都度設定する。全校集会は生徒会の司会で進み、「静かに」と声を張り上げる教員の姿はない。

 目玉は生徒会による寸劇。「けじめをつけよう」が目標だった10月は、授業が始まっても席につかず騒いでいた生徒が、周囲の生徒の影響で態度を変える様子をユーモアを交えて表現、生徒たちの笑いを誘った。脚本は生徒会メンバーが夏休み中に合宿で練り上げた。

 あいさつ活動から壁新聞づくり、垂れ幕作りなど生徒会の活動は多彩だが、教員36人のうち14人が生徒会活動にかかわり、連携を密にしている。

 集会後の道徳の時間は、全学年共通の教材を使う。授業の後は、生徒に感想を書いてもらい、学級通信でまとめて生徒に打ち返す。生徒や教員へのアンケートで、道徳の検証もしており、昨年の3年生は、卒業時に「道徳は自分の成長に役立つ」と答えた生徒が73%いた。過去のアンケートで最低だった2年時に比べ、50ポイントも上昇していた。

 当初は道徳について「どう授業をしたらよいか分からない」と困惑していた教員たちも変わってきた。今年度からは、全教員が1本ずつ道徳の指導案作りに挑戦している。道徳担当の参河(みかわ)志保教諭(29)は「年間35時間全部ヒットは打てないが、授業で反応が今ひとつでも、後から生徒から思わぬ感想が返ってくることもある。今は手応えを焦らないことが大事に思える」と説明する。

 「生徒たちの懸命な姿を見て、保護者や地域の人の見る目も変わってきた」と出原浩一校長(54)。

 取材後、トイレ掃除を担当した陸上部の活動日誌を先生がそっと見せてくれた。「どのトイレもピカピカですよって記者の人に自信もって言える」「いっぱい四中の良いところ見せたい」。誇れる学校にしたい、という意気込みが痛いほど伝わってきた。(片山圭子、写真も)

 道徳嫌いな中学生 文部科学省が2005年に行った義務教育に関する意識調査によると、道徳を「とても好き」「好き」と答えた児童・生徒の割合は小4の58.4%から小6で42.8%、中3では37.2%と学年が上がるほど低下する傾向がある。中3では英語、数学とともにワースト3の不人気さだ。形式的な授業では、思春期の中学生の心を動かすのは難しいことが、この数字からもうかがえる。

2007年11月2日  読売新聞)
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