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検証 特区の学校

(7) 「再挑戦」支える熱意

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学校近くの水田で稲刈り作業に汗を流す日々輝学園の生徒たち。体験学習のメニューも豊富だ

 不登校や学習障害の子供たちを対象にした学校が出来ている。

 株式会社立通信制の日々輝(ひびき)学園高校(栃木県塩谷(しおや)町)には「遅刻バス」と呼ばれるスクールバスがある。

 最寄り駅から学校までバスで約20分。始業時刻の午前9時15分に間に合う2便のほか、午前9時35分に到着する便があるのだ。さらに、体調を崩したり、寝坊したりした生徒向けに、昼過ぎにもう1便ある。

 通信制の生徒を支える私塾を母体として開校、2年目を迎えた同校では、最大週5日通学する、全日制に近いスタイルの生徒が、在籍する884人のうち182人もいる。「学校に来られるようになったときに、必ずすくい上げられるようにしたい」と長嶋晟(せい)一(いち)校長(68)は、遅刻バス運行の狙いを語る。

 教職員が自宅まで乗用車で迎えに行くことさえしばしば。毎週火曜と金曜には、始業前にバスの運転手も含めた教職員全員が集まり、生徒それぞれの状態についての情報を共有し合う。調子の悪い生徒には、教職員全員が「大丈夫か」「学校に来られたんだね」と声を掛けることが出来るため、生徒の安心感につながっているという。

 授業内容は基礎的なものから始める。中学時代に不登校だった生徒がほとんど。「英語や数学は継続した積み重ねがないと厳しい。中学レベルから復習して、つまずかないようにしないと、再びドロップアウトしてしまう」と長嶋校長。

 中でも、セルフトラスト(ST)クラスコース(21人)は、不登校経験の長かった生徒を対象にした緩やかなカリキュラムが特徴だ。週2、3回通えば大丈夫なペース。場合によって、個別の指導や放課後の補習もする。コース名は、自分を信頼することから始めようという趣旨で付けた。

 英語の授業を受けていた男子生徒(26)は「授業がとてもわかりやすい」と満足げだった。高校中退後、職を転々とし、昨年10月にSTコースに入学した。

 発達障害の生徒を対象にすることを打ち出しているのが、横浜市緑区の私立星槎(せいさ)中学・高校だ。保護者で作るフリースクールを母体に、構造改革特区制度を使って中学校が出来たのは2005年。翌年には高校も開校した。

 心理学の手法を使って対人関係など社会性を養うことを狙った「ソーシャル・スキル・トレーニング(SST)」の授業を売り物にしている。フリースクール時代から、学習障害の生徒の教育にあたってきた経験豊富な教師陣が自慢だ。

 だが、悩みもある。受験倍率は3倍を超え、希望しても、入学を断らざるをえない例も多い。

 「校舎の床面積を考えると、今の定員(1学年中学60人、高校84人)がギリギリだ。何度も相談に来られる保護者もいるが、毎回断るのも気が重い」と金子肇校長(69)は打ち明ける。

 発達障害の子供たちへの教育体制の充実は、まだ道半ばだ。(宮本清史、写真も)

 発達障害 全般的に知的水準の遅れはないが、読み書き計算など、特定の能力の習得や使用が困難な学習障害(LD)、発達に釣り合わない注意力や多動性などが特徴の注意欠陥・多動性障害(ADHD)、特定の事象にこだわりが強い特徴を持つが、知的発達に遅れを伴わない高機能自閉症などがある。2004年には、国や自治体に幅広い支援を求めた発達障害者支援法が成立している。

2007年12月12日  読売新聞)
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