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PTA再考

(10) 悩み語る「おやじ相談室」

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卒業式後におやじ相談室を振り返る池上会長(左)と来年度会長に就任する遠山信敬副会長。「おやじ相談室は必ず続けてください」と池上会長は力を込めた

 PTA活動が父親たちの子育て力向上につながる。

 「おやじの出番ですよ」 福井県若狭町立上中中学校PTAが3月に発行した会報には、「おやじ相談室」への参加呼びかけが掲載されていた。

 「相談室」と銘打っているが、野外活動やモノ作りが中心だ。初年度の2006年度は、学校で使うゴミ箱を作ったり、近くの山に父親たちだけで登ったりした。07年度はグラウンド整備用具の“トンボ”作りや学校の敷地内での菜の花の種植えなどに取り組んだ。毎回の参加者は少ないときで20人ほど、多いときは40人ほどになる。

 なぜ「相談室」なのか。

 「作業をしながら語り合うことで、より本音で語り合える。『ながら相談』が最大の狙い」と服部成男教頭が説明する。

 活動の合間におやじたちがする雑談は、大半が子育てに関するものだ。

 「父親の出番はどんなとき?」「ここ一番のときだろう」「日常からガミガミいうのはいけないよ」「息子がバンドばかりやっている」「でも、子供が活躍している姿はうらやましいよ」

 こんなやりとりが、あちこちで繰り広げられる。

 「何気ない相談の中で、子育てへのやる気と自信を取り戻してもらいたい。汗を流す姿を見ることで子供たちの父親への視線も変わってきている」とPTA会長の池上成志さん(49)。

 背景には、「子育ての悩みを話せる相手がいない」という父親たち自身の悩みがあった。

 相談室が出来てまもない06年5月に開いた座談会形式の「おやじと語る会」では、「子供をどうしかればよいのか難しい」「娘の気持ちが分からない」「子供に相手にしてもらえず話しづらい」といった父親たちの悩みが次々と口をついて出た。

 鯖街道の旧宿場町を学区に持ち、古くからの農家も多い地域だが、地域社会のつながりは薄れてきており、父親たちが相談する場は必ずしも多くないという。

 一方で、生徒指導上の問題もあった。学区内に工業団地や住宅団地が造成されて、生徒数が増加。生徒の服装の乱れなど、問題行動が気になるようになった。「問題行動の解決には、母親だけの力では難しい。父親の力を取り込むことが必要」と当時のPTA会長が考えた。

 スタートから2年がたち、母親中心だった他の活動にも、父親が積極的に加わるようになった。また、活動が活発になるにつれて、学校運営についてのクレームも激減したという。「家庭が安定してきたのか、生徒が非常に落ち着いてきている」と服部教頭も振り返る。

 昨秋に視察した他県の中学校PTA関係者も「学校の様子をみて感心した。これまでの取り組みの成果だと思う」と感想を残した。

 悩みはメンバーに固定化の傾向が見られること。生徒数約320人の学校なら、父親たちの参加はもっと見込めるはずだ。

 ただ、「突っ走っても空回りするだけ。地道な活動で少しずつ仲間を増やしたい」と池上会長。町内のほかのPTAとも連携しながらの取り組みが続く。(宮本清史、写真も)

 おやじの会 PTA活動の一環として、公立の小中学校を中心に父親たちのグループとして「おやじの会」が設立されるケースは多い。2004年に設立された全国組織「おやじ日本」によると、全国では、地域主体のものも含めて約4000団体以上があるという。主な活動は、親子の交流会や防犯パトロール、学校行事への協力など。

2008年3月29日  読売新聞)
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