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シニアの学び

(7)受講生 地元で即戦力

すぎなみ地域大学の講座仲間から生まれた子育て支援団体「ほっぺ」の活動(セシオン杉並で)

 NPOで活躍する即戦力として、自治体が中高年に期待する。

 東京都杉並区の社会教育センター「セシオン杉並」で先月29日、区主催の子育て支援イベントが開かれた。参加66団体の一つのNPO「子育て仲間ほっぺ」は、昨年発足したばかり。メンバーの女性6人が、会場を訪れた親子連れに声をかけ、絵を描いたり、おもちゃを作ったりして、子供たちを喜ばせた。

 代表の村田陽子さん(55)は、結婚前に幼稚園の教員だった。昨年まではNPOでゴミのリサイクル活動などにかかわってきたが、区の広報誌で、学習講座「すぎなみ地域大学」の子育て支援講座の案内を見て、「今からでも、もう一度勉強できるかも知れない」と受講を決めた。

 すぎなみ地域大学は2年前、団塊世代の大量退職の受け皿作りも視野に開講した。地域作りに貢献する人材の育成に的を絞った、実践的な学習講座だ。区民生活部の担当課長は「今までの生涯学習講座では満足できず、修了後に自分が学んだ知識を社会で生かしたいと考えている人に学びの場を与え、活動を始めるきっかけを作るのが役割」と説明する。

 地域大学には、子育て支援など区民のニーズが高いNPOの担い手を育てる講座、初期救命の技術を学んだ救急協力員など行政に必要なボランティアを育てる講座、NPO自身が企画して必要な人材を養成する講座がある。講座は半年以内で、今年は前期14講座、後期16講座が開講する。

 昨年前期の子育て支援講座に参加した村田さんは、幼稚園の教員になる前に学んだ知識と、今の知識がかなり異なることに気づいた。「例えば、昔は『子供は抱き癖がつく』と言われたのに、今は『甘えさせてもいい』という風になっている」。母親がインターネット情報に頼りながら子育てをするなど、昔は考えられなかった子育ての問題点が出てきたこともわかった。

 講座は座学だけでなく、7、8人のグループを作って、自分の意見を発表したり、グループで意見をまとめたりする時間も多く盛り込まれた。その中で、「修了後は、実際に子育てに疲れる母親を支援したい。親も子供も、肩の力を抜いてほっとするような楽しい場を提供したい」と考える受講生の意見がまとまり、「ほっぺ」の活動が始まった。

 メンバーの1人、横井裕子さん(64)は、最近まで高校や大学で英語の教員として働き、集中力がないなど、子供の変化を肌で感じてきた。定年退職後、「もっと小さいうちの子育てが大事なのでは」と考え、講座に参加した。「講座を通じて、地域に同じことを考える仲間がいることを知った。今のお母さんは子育てに必死で、子供をかわいいと思うゆとりをなくしている。少しでも助けたい」

 子育て支援の講座から生まれたNPOは、「ほっぺ」が二つ目。時間はかかるが、講座のまいた種は、早くも芽吹きつつある。(宮崎敦、写真も)

 講座修了生の7割が地域活動 すぎなみ地域大学は2006年度に12講座を開講、719人(男性382人、女性337人)が受講した。男性は60代が4割を占めた。修了者511人のうち371人(73%)が地域活動に参加。NPOを設立するか、既存のNPOに加わった人が97人、救急協力員などに登録した人が274人いた。07年度末までにNPOも五つ新設された。

2008年4月16日  読売新聞)
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