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中高一貫

(13)論理的思考力 6年計画

ディベートの指導をする加々本教諭(左から2人目)と八木教諭(右から2人目)=菅野靖撮影

 論理的思考力の育成に力を注ぐ中高一貫校が3年目を迎えた。

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 加々本裕紀(ゆき)教諭がテーマを告げると、八木由佳教諭がすかさず板書をする。教師歴18年目と9年目のコンビは絶妙だ。生徒には「打ち合わせの時間がなくて」が口癖だが、実際には2人で夕食を取る時も「授業の話しかしない」。

 東京都立大学付属高校を母体に誕生した都立桜修館中等教育学校(東京・目黒)には、国語や数学以外に、「国語で論理を学ぶ」と「数学で論理を学ぶ」が週1コマずつある。実際には2時間続きの授業を隔週ごとに「国語論理」と「数学論理」交互で行っている。

 「国語論理」の授業は2人のチームティーチング。先月末の3年D組の授業は、3人1組で、肯定側、否定側、判定役に分かれてのマイクロディベート(ミニ討論会)だった。授業の締めくくりで、判定役の生徒何人かに発表させると、2人の教諭は心の中でうなずき合った。3年目という蓄積を感じる瞬間だった。

 「説得力とは、強い語調などではなく、明確な結論、客観的な根拠、論の一貫性であることを、説明しなくても生徒たちが理解している」と加々本教諭。こうした訓練を、小論文を書いて批評し合う授業につなげていく。

 開校を1年数か月後に控えた2004年12月の学校説明会。体育館を埋めた約1000人の小学生と保護者を前に、石坂康倫(やすとも)校長は「論理的思考力の育成に力を入れる」と宣言していた。

 「論理的に考えてわかりやすく伝えるということが、これからの子供たちに求められています。新聞に出ていた、経済協力開発機構(OECD)の国際学習到達度調査(PISA)で求められているのも同様の力です」

 同校の開校は、文章を読み解く力の低下が社会的に大きな話題になった直後だった。

 「国語論理」の1年目は論理とは何かから考え、スピーチの仕方から学ぶ。2年では投書などの新聞記事を繰り返し読み解いてきた。論理的であるだけでなく、相手を尊重するコミュニケーションの重要性についても考えてきた。

 PISAの記述問題を解いたこともある。PISAを受けた日本の15歳が苦手と指摘された問題も、桜修館の生徒は黙々と解答用紙を埋めた。

 PISAの結果を受け、書店には「考える力」育成本があふれているが、「どういう力をつけて送り出すかを明確にし、はやりに流されないようにしたい」と八木教諭。ここにも、これまでの積み重ねに対する自負がある。

 論理の授業以外でも、総合的な学習の時間を使い、ものを調べ、文章を書く訓練を続けている。5年では個々に研究論文を完成させ、6年では、この論文を英訳して発表する。「そこまで持って行くには、論理的思考力のトレーニングが欠かせない」と石坂校長。6年計画が進めば、目指す力の育成が実を結ぶ可能性は高い。(中西茂)

 PISA 2000年から3年ごとに各国の15歳に実施している。実生活での知識・技能の活用力を見るのが主眼。日本の子供の問題を読み解く「読解力」は、00年の8位から03年には14位に低下、06年も15位にとどまり、文章題の無答率も目立っている。論理的思考力の強化は、この読解力低下との関連で指摘されることが多い。

2008年5月16日  読売新聞)
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