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特別支援

(8)弱視教育 LD児に光明

視覚認知の発達を促すドリルを使った、学習障害児への教育相談(旭川盲学校で)

 弱視教育の指導法を、学習障害(LD)児に応用している盲学校がある。

 たくさんの図形が描かれた絵の中から、三角やひし形などを見つけ出し、色鉛筆で塗っていく。北海道旭川盲学校(旭川市)の教室で、小学2年生の陸君(仮名)は、黙々とドリルをこなしていた。

 陸君が取り組んでいたのは視覚認知のトレーニング。漢字の部首など、細部の形に注意が向くようにするのが目的だ。元々は弱視教育のために考案された指導法だが、読み書きが苦手なLDの子にも有効だ。

 近くの小学校の通常の学級に在籍する陸君は算数は得意だが、国語が大の苦手。ひらがなの「あ」など、線がたくさん交差した字が上手に書けない。昨年末から月1回のペースで放課後、旭川盲学校の教育相談へ通っている。

 同校が地域にいる視覚障害児に加え、LD児の支援に乗り出したのは2002年度。「聴覚的な情報で視覚情報を補うなど、弱視教育とLD児の学習支援には共通点が多い。地域の特別支援教育のセンター的な機能を果たすため、校内組織として支援する部を設け、長年蓄積してきた指導方法を還元していこうと考えた」と支援部長の菅原素子教諭(53)。

 旭川市内の中学3年生、翼君(仮名)は小学校を卒業するまで2年余り、旭川盲学校の教育相談に通った。漢字がほとんど書けない、LDの一種「書字障害」で、テストの度、教室から逃げ出していた。

 母親は「社会科の成績は悪くないので、やる気がないんだと怒ってばかりいた。でも医師の診断で、本人がものすごく困っていると分かり、ここを紹介された」と振り返る。

 漢字を部首などに細かく分解して目で見る量を減らし、それらを口にして耳からの情報で補った後、再び組み合わせるパソコンソフトに日々取り組んだ。その結果、漢字テストの成績は6点から60〜70点に伸びた。

 「以前は、漢字は棒の集まりにしか見えなかった」と翼君。母親は「教育相談がなかったら、今も自分の名前が書けず、不登校になっていたかもしれない」と話す。

 今年度教育相談に当たるのは、菅原教諭ら6人の教諭。幼児から中学生まで、読み書きに困難がある19人の子供を個別に指導している。

 05年度にはLD児の相談件数が視覚障害児を上回り、相談体制も、乳幼児中心の早期教育支援型から、学齢児中心の普通学校支援型へと変わった。「指導法や教材の作り方などのノウハウを伝えるため、通常の学級の教師も対象に定期的に開く研修会には、北海道各地から70人もが参加するようになった」と菅原教諭。

 本格始動から2年目に入ったばかりの特別支援教育へ戸惑いを隠せない学校が多いなか、特別支援学校が地域に果たす役割に期待が高まっている。(保井隆之、写真も)

 名称変更は3分の1 昨年4月施行の改正学校教育法で、盲・(ろう)・養護学校は障害種別を超えた「特別支援学校」に法令上、一本化。特別支援教育のセンター的役割も規定された。ただ、名称変更は設置者の判断で、文部科学省によると今年4月現在、変更したのは927校のうち329校。長い歴史を持つ教育への誇りなどから、校名を変更していない学校も多い。

2008年5月29日  読売新聞)
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