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当世留学生事情

(4)社員寮に入り 企業知る

三井物産平和台寮の食堂で社員と談笑する謝さん(右から3人目)

 企業の社員寮を、留学生に提供する取り組みがある。

 東京都練馬区の東京メトロ平和台駅から徒歩約10分。三井物産平和台寮は閑静な住宅街にある。立教大学大学院で学ぶ中国人留学生、謝善鵬さん(27)は、この寮で社員に交じって生活している。

 会社から帰った社員3人と食堂で夕飯を食べながら「今就職活動中なんですよ」「へえ、どんな状況?」「なかなか難しいですよ」。そんなやりとりが気軽にできる。寮費は社員と同じで1万円足らず。朝夕付く食事も割安だ。

 謝さんがこの寮に入ったのは2006年。それまでは大学近くで一人暮らしをしていたが、家、大学、バイト先の居酒屋を行き来するだけで、日本人との交流は少なかった。「単に『おはよう』と毎朝あいさつするだけでほっとする」と謝さん。寮対抗のスポーツ大会にも参加し、「家族のような感じになれた」という。

 日本で就職を目指す留学生にとって、社員寮は日本の文化を知る上でも重要だ。謝さんは「この寮の人は、平日朝早くから夜遅くまで働いているのに、休日はしっかり遊びを満喫している」と驚く。「大学やバイト先で見た日本人とは全く違い、日本の会社で働くイメージが膨らんだ」

 留学生への社員寮の提供は、経済同友会が参加企業を募る形で1987年から始まっている。当初は、参加企業も提供部屋数も増えたが、バブル経済の崩壊後、社員寮を売却する動きが目立ち、提供部屋数は98年の838室をピークに減少、07年には592室となっていた。

 ただ、好転の兆しもある。社員寮の賃貸業務を全国規模で展開する「共立メンテナンス」によると、ここ2年で社員寮の契約部屋数は6〜7%伸びているという。「社員研修の場として考えているところや、身近に相談出来る相手を置いて離職を防ぐ狙いもあるようだ」と同社の担当者。1棟丸ごとの賃貸契約も増えているという。

 03年に若手の寮制度を廃止した三井物産も3年後には復活させている。部署間のコミュニケーション不足を補い、会社としての一体感を醸成するには必要不可欠だという声が社内で強まったからだ。特に共同の風呂やトイレがある施設を優先的に探し、より寮内での連帯感を強めるよう工夫している。

 現在は8棟で18人の留学生を受け入れている。古東(ことう)誠・給与企画室長は「社員と学生の生活パターンが違うこともあり、そんなに接点が作れているわけではないが、海外赴任が前提の社員にもよい刺激になるはずだ」と前向きにとらえている。

 「グローバル展開が当たり前となってきている日本企業にとって、留学生を受け入れる意義は大きい」と社員寮の活用を進める財団法人「留学生支援企業協力推進協会」の太田篤事務局長。

 社員寮の活用に、もっと知恵を絞りたい。(石田浩之、写真も)

 日本での就職率は上昇傾向 文部科学省によると、2006年度の留学生3万2099人のうち9411人(29.3%)が日本国内で就職した。04年度は2万4961人中5705人(22.9%)で、増加傾向にある。政府の教育再生懇談会は5月の1次報告で、「留学生30万人計画」実現のため、国内就職率の目標を5割にすることを提案した。

2008年6月20日  読売新聞)
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