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(3)改革の成否、校長次第学校の情報化を進めるには、校長のリーダーシップが必要だ。 机の上には高々と積まれた書類の山。他人の視線を遮るかのように“壁”を築きながら、教員たちは自分の仕事に没頭していた。岐阜市立本荘小学校の井上志朗校長(59)が今年4月、赴任初日に目にした職員室の光景だ。「あなたは前の席の先生が嫌いなんですか」。そう聞きながら、「教育の基本は相手の顔を見ること」と説いた。 県教育委員会で情報教育担当指導主事を務めた後、小中学校の校長、副校長として11年間、学校のICT(情報通信技術)化に取りくんできた。情報化の中心的役割を担う学校CIOという言葉が認知される前から、ICT活用の成否は校長のリーダーシップがカギだと確信した。 「トップが頭ごなしに指示するピラミッド型組織ではうまくいかない。校長が教員と同じ高さに下り、それぞれの役割を担うネットワーク型の組織にならなければならない」と井上校長は強調する。 ◎
「年配の教員はパソコンに向かえ、若い教員は子供に向かえ」を合言葉に、情報化の改革に乗り出した。「年配の先生は長い教員生活で引き出しがたくさんでき過ぎているから、ICTで整理するのが効果的。一方、若い先生はパソコンを操作できても、引き出しが少ない」 校務分掌を見直し、担任は学級経営と教科指導以外はなるべく学校全体の校務にかかわらないようにした。職員会議の資料もなくし、ペーパーレス化を進めた。「与えられるまで待つのではなく、自分から主体的に情報を取りに行くように教員の意識が変わった」と井上校長。 ホームセンターでプラスチックダンボールを買い、表面にビニールシートを張ってスクリーンを自作。1枚約600円の予算で、資料や児童のノートを投影する授業が全クラスで可能になった。「予算がなければ知恵を出せ」が持論だ。 「これまでは、拡大したカラーコピーを張り合わせて資料を作っていたが、そうした労力が減った。その分、教科指導に時間を割けるようになった」と春日井恵子教諭(40)。 ◎
授業中の児童の顔つきも変わった。象徴的なのが、算数の終わり10〜15分間に取り入れた市販の学習ソフト「iプリント」による個別学習だ。テキストの設問ごとに定着・標準・発展問題と書かれたバーコードが記されており、図書室にあるパソコンのリーダーで読み込むと、自分の名前が記されたプリントが出力される。休み時間にも列が途切れず、みな黙々と問題に取り組んでいる。 「ドリルはすぐ飽きるけれど、難しい問題や、やさしい問題を自分で選べるのは新鮮な感じがする」と6年の男児。個々の学力に合わせた細やかな繰り返し学習が手軽にできるようになった。 学校の情報化が進めば、子供の学びも、教師の姿勢も主体的になる――井上校長はそのことを実感している。(保井隆之、写真も) 学校CIO 学校の情報化を進める際の統括責任者(チーフ・インフォメーション・オフィサー)。文部科学省が設置した「学校のICT化のサポート体制の在り方に関する検討会」が7月にまとめた報告書で、校長、副校長・教頭が任に当たるよう提言。教育委員会に置く教育CIOと連携し、ICT化の確実な実行を目指している。 (2008年9月19日 読売新聞)
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