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学校の情報化

(7)電子黒板で授業自在

電子黒板に書き込みをする生徒(つくば市立吾妻中学校で)

 すべての市立小中学校に電子黒板を導入した自治体がある。

 黒板の真ん中にはり付けられた電子黒板に、竹取物語の冒頭が表示された。茨城県つくば市立吾妻中学校1年生の国語。9月11日は初めて古典に触れる授業だった。

 電子黒板はパソコンやプロジェクターとつながっており、パソコン画面がプロジェクターを通して電子黒板上に投影される。電子黒板には電子ペンで書き込みも可能だ。

 「じゃあ、画面を見ながら読んでみて」と、教務主任の綿引良文教諭(47)が暗唱を指示する。最初は全文が表示されていたが、綿引教諭が電子黒板の画面を電子ペンでぽんと押すと、一部が空白になる。

 生徒たちはそれでも一斉に、「今は昔、竹取の(おきな)といふ者ありけり……」と読み進める。綿引教諭が空白部分がさらに増えた画面を見せるとつかえてしまう。

 「じゃあ、もう一度前に戻ろうか」

 こんな繰り返しの中で、生徒たちは、授業の終わりには冒頭をそらんじていた。

 電子黒板の導入前、綿引教諭は竹取物語を板書したうえで、黒板消しで一部を消しながら暗唱させていた。

 「つかえても板書だと後戻りができない。黒板に向かっている時間は生徒に背中を向けてしまう」。模造紙に冒頭部分を書いて準備していた時もあったが、1年生の国語は4クラス持っていたので準備が大変だ。「今は、生徒に向かう時間が増え、その間に誰がどのくらい覚えたか、子供の様子が把握できる」

 同市が電子黒板を試験的に導入したのは2004年度。使ってみた教師からは「これはいい」と評判になった。

 ただ、1台約30万〜150万円する高価な備品。市長や教育長、調達を担当する市教委職員にも研究授業を見せ、必要性を理解してもらった。順次、導入が進み、現在は小学校37校と中学校14校の全校で、少なくとも1校あたり1台が配備されている。

 全市で電子黒板が導入されることで、教材やノウハウの共有も進んでいる。

 同市では、ロケットの打ち上げ場面や、キリスト教伝来を伝えるビデオ映像、世界各国の穀物輸入量を示すグラフなど、理科と社会のデジタル資料を一括購入。各学校のサーバーに置いてあり、各教師は電子黒板での教材づくりに自由に利用することができる。

 また、電子黒板も含めたICT(情報通信技術)機器の使い方についての研修や、情報教育担当の指導主事の学校訪問、「市ICT教育活用実践事例集」を作成することによって、市全体で効果的な使い方を学びあっている。

 杉田慶也指導主事は「全市で整備することによって、使い方についても全市的に話ができ、授業の質の向上につながる。電子黒板は、すべての先生に共通して、授業改善に役立てることができる道具」と位置づける。

 ただの電脳紙芝居に終わらせないためには、使う側の努力が必要なことは言うまでもない。(山田睦子、写真も)

 電子黒板 電子情報ボードとも呼ばれる。壁にはり付ける「ユニット型」、センサーを内蔵したホワイトボードにプロジェクターで投影する「ボード型」、ディスプレーを直接操作する「一体型」がある。文部科学省によると、公立学校での導入台数は2005年度末で7832台。現在集計中の昨年度の台数は1万台は超える見込みで、年々増加している。

2008年9月25日  読売新聞)
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