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ものづくり

(3)学内の橋、広場など自作

ものつくり大構内の池に今夏建設された浮橋の点検をする学生たち

 ものづくりの実践を重視した大学がある。

 ものつくり大学(埼玉県行田市)には、学生が設計から施工まで担った広場、あずま屋が点在する。校舎間をつなぐ二つの連絡橋も学生の作品。学部は技能工芸学部(建設技能工芸、製造技能工芸の2学科)だけで、定員は1学年360人だが、12万平方メートルという広いキャンパスを十分に生かしている。

 今夏には、キャンパス内の調整池にも橋を架けた。歩道橋など小さい橋を研究している増淵文男教授(60)が発案した建設技能工芸学科3年の実習だ。

 二つの連絡橋は、大手ゼネコンで現場所長を務めた経験のある非常勤講師4人の指導を仰ぎながら、足場作りなど工事の基礎から始め、それぞれ2年がかりで完成させた。

 調整池の橋は、環境重視でコストの低い浮橋だ。発泡スチロールをコンクリートで固めた浮体をロープでつないだ。池に生えていた約3メートルのアシを引き抜き、大型クレーンを使って橋を浮かべた。学生たちは図面を見ながら、浮体のパーツを作っていった。

 「教授の指摘を受けて確認したら、図面にミスがあることがわかった。そんなことの繰り返しだった」と建設技能工芸学科3年の菊池康太さん(21)。「図面を書くことは上手でも、実際に想像できなければ意味がない。本物を造ることで、その想像力を養いたい。実際に完成したものを見たことがないと、どこが違うのかも分からないこともある」と増淵教授。

 同大は、ものづくり日本を復活させる人材を育てようと、国や県の補助、寄付を得て2001年に開学した。土地は行田市の提供だ。開学前、建設推進母体の一員だったケーエスデー中小企業経営者福祉事業団を巡る汚職事件が発覚し、学生募集に苦戦したが、今では全国から集まるようになった。工業高校出身者が学生の3割を占める。

 従来の理工系大学は実技よりも理論を重視する傾向があったが、同大では実践的な力のあるエンジニアを育てることに力を入れる。神本武征(たけゆき)学長は「企業側から『大学の機械科を卒業しているのに、スパナの使い方も知らない学生がいる』といった声も聞く。しっかりとものを知った上で設計、開発出来る人材を育てたい」と語る。

 そのために、教授25人のうち18人までは、民間企業の技術者や研究開発に携わった経験がある人をそろえた。316人いる非常勤講師には、大工や左官職人、国際職業訓練競技大会の金メダル受賞者を並べた。

 就業体験も重視する。製造技能工芸学科は3、4年に各40日間、建設技能工芸学科では2、4年で各40日間、大手ゼネコンや工務店、設計事務所などで働く。授業の一貫だから、終了後にはリポートの提出が義務になる。

 これまで4年間の卒業生の就職率は93〜99%。この評価を定着させるには、企業の中でいかに力を発揮できるかが重要になる。(石田浩之、写真も)

 多額の補助金投入 1990年代、財界からの声を受けて、旧労働省所管の公益法人が“職人大学”の設立を計画。国が約83億円、埼玉県が約30億円、行田市が約24億円を補助、産業界からも約3億8000万円の寄付を受けて2001年に開学した。計画段階の仮称は「国際技能工芸大学」だったが、現総長の哲学者、梅原猛氏が「ものつくり大学」と命名した。

2008年10月9日  読売新聞)
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