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(2)「仮想教室」討論を熱く豊富な機能を持つ電脳空間が学習意欲を刺激する。 「リポート提出はムードルに」「先週の学習時間をムードルに報告して」 三重大学(津市)の生物資源学部で10月下旬、「環境情報学」の授業中、森尾吉成准教授(37)は何度も「ムードル」という言葉を口にした。1年生約50人がパソコンの前にいる。 「ムードル」とは同大が学内ウェブサイト上で授業支援用に開いた“仮想教室”。リポート提出コーナーや学生同士が24時間書き込める“談話室”、授業用の資料の閲覧室や、テスト室も設けることができる。 授業ごとに作り換えができるため、どんな機能を持たせるかは担当教員次第。授業中の小テストの結果を、その場で書き込ませて集計すれば、瞬時に理解度を把握し、講義をやり直すことも可能だ。 「自分で学ばない人は置いていく」と言葉をかけるなど、授業中の緊張感を保つ工夫は欠かせないが、「提出物の管理などの手間が省け、学生の表情や理解度を見ることに集中できる」。森尾さんはムードルの威力を実感している。 ◎
三重大で初めてムードルを使い始めたのは、奥村晴彦学長補佐(57)(情報教育)だ。4年前の着任時に見た授業風景が、きっかけになった。 自己紹介させると、名前しか言えない学生がほとんど。私語はないが、議論も弾まない。「人と交われないのか」と疑念を持ちながら学生のパソコンをのぞき込んだ時、会員交流サイトの大手「ミクシィ」の画面が目に飛び込んできた。パソコンを通しての対話なら、授業への積極参加を促せるかも――。 早速、欧米やオーストラリアで広がっていたムードルを個人的に使い始めた。リポート提出箱を設けたところ、学生が送信記録を確認できるため、「出した」「いや受け取っていない」といったつまらないトラブルがなくなった。電子掲示板の設置で、課題や予習復習の指示も明確にできる。小テストは、学生一人ひとりのつまずきを確認するのに役立つ。 学生同士の関係も大きく変えることになった。学習内容についての討論コーナーでは、夜中まで書き込みが続くことがある。ウェブ上で知り合えたことで表情が変わり、授業中の議論が活発になった。 ◎
評判は大学の外まで広がり、2年前から大学として普及を図ることになった。現在、ムードルを使う授業は約700。大学の授業全体の2割強だ。昨年度の学生による授業評価では、20項目中19項目でムードルを使用する授業の方が高い点数を得た。中でも「新しい知識・考え方・技術が獲得できた」「知的刺激が与えられた」など、学習意欲につながる項目で差が出た。 奥村さんは「全教員に義務化は難しい」と打ち明ける。ムードルの更新を怠る教員も目につくからだ。「先生によって差がある。使いやすいムードルは勉強する気にさせる」と生物資源学部の1年生。小手先の工夫では、学生を刺激することはできない。(松本美奈、写真も) ムードル(Moodle) オーストラリアで開発された無料の授業支援ソフト。会員同士で交流するミクシィと異なり、教員が管理することを想定して作られた、学生とのコミュニケーションシステム。国内では、名古屋工業大学や鈴鹿工業高等専門学校などで導入されている。 (2008年11月5日 読売新聞)
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