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法科大学院

(9)修了者増え 就職厳しく

現役弁護士らに刑事弁護の技術を学ぶ司法修習生ら(大阪弁護士会館で)

 法科大学院修了者の就職は厳しさを増している。

 法律事務所や企業の法律専門職の求人広告を掲載するインターネットサイト「ジュリナビ」が昨年5月に誕生した。法科大学院65校が資金を出し、文部科学省も助成、明治大学法科大学院と株式会社「ジュリスティックス」が共同運営する。だが、求人数は常時30程度にすぎない。

 我が国では弁護士1人の事務所が3分の2を占める。司法試験合格者は1990年ごろまで500人前後の時期が長く続き、就職活動も個人的な人脈頼りだった。しかし、2008年度の合格者は2200人を超えている。

 ジュリナビ設立を主導した明大の鈴木修一教授(弁護士)は「修了生を企業法務などで幅広く活用していくべきだが、企業が必要性を感じていない」と指摘する。ジュリナビの調べでは、新司法試験に合格、08年12月に法曹資格を得た1731人中、民間企業就職者は58人。1477人が弁護士事務所に就職した。検事任官は73人、裁判官は75人だ。

 経済情勢の悪化で、08年度司法試験合格者の就職活動も厳しいが、就職活動は大学院修了後になるため、大学院側も本格的支援はしていない。

 司法試験に失敗した修了生の進路はもっと深刻だ。ジュリナビの求人で、民間企業での採用例は三井物産などごく限られている。就職支援サイト「リーガル・マップ」は、これまで400人の修了生と企業の間を取り持ったが、9割が試験に失敗して法曹の道をあきらめた人だ。

 そうした中で、東京都は09年度から、司法試験と重ならない日程で、修了者を意識した採用試験を始める。

 司法試験突破後の司法修習は、かつて2年間だったが、法科大学院制度が始まって1年間に短縮された。修習生は合格発表と同時に、就職活動にも追われることになる。

 大阪弁護士会の都市型公設事務所「大阪パブリック法律事務所」(大阪市北区)が、1月に弁護士会館で開いた私塾には、司法修習生11人が参加した。「バッジを着けたその日からプロの弁護士や。本番で失敗せんよう、今失敗しろ」と事務所長の下村忠利弁護士。修習生は真剣な表情で、被疑者への接見の練習など刑事弁護の技術を学んだ。

 参加者の一人が「法曹人口増加で就職は厳しい。即戦力になりたい」と動機を語る。

 都市型公設事務所は、各地の弁護士会が中心になり設立し、日本弁護士連合会も支援する。経済的な理由で通常の弁護士事務所に相談できない住民の法律相談を受け、国選弁護を引き受けるほか、弁護士過疎地域で活動を希望する新人弁護士の育成も手がける。

 このため、司法修習生の就職支援にも積極的で、第2東京弁護士会の東京フロンティア基金法律事務所(新宿)は、01年の開設以降、13人を育てて過疎地などに送り出した。法科大学院の中に事務所を置いて、学生の教育に携わる動きもある。

 法科大学院修了生をどう生かすか。社会全体で考える必要がありそうだ。(向井ゆう子、写真も)

 1期生の7割が司法試験突破 文部科学、法務両省によると、法科大学院が初めて修了生を出したのは2005年度で、法学既修者コース(2年制)のみ2176人。このうち、08年度までに新司法試験を突破したのは1504人(69.1%)だった。172人が3回の受験に失敗し、新試験の受験が事実上できなくなった。

2009年2月25日  読売新聞)
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