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免許更新

(10)講習通じ大学PR

野口教授から指導を受ける千葉大工学部の学生たち=多田貫司撮影

 教員免許の更新講習を、大学のPRに生かそうとする動きもある。

 「まずは理科の先生たちに、工学部になじみを持ってもらい、夢のある学部と知ってほしい。そして、工学部を志望する子どもたちが増えてくれればありがたい」

 静岡大学工学部(浜松市)学部長・柳沢正さん(58)は、今年度全国の大学で開かれる教員免許の更新講習について、工学部の魅力を宣伝する絶好の機会と見ている。

 学校基本調査などによると、工学系学部への入学志願者数は、2008年度入試で約53万人と、10年前のほぼ3分の2に減った。柳沢さんは、「高校の理科教諭は、教育学部を除くと理学部出身者が多く、工学部出身者はほとんどいない。理系で優秀な生徒は医学部進学を勧められる傾向が強く、生徒が工学部に興味を持ちにくいこともある」と説明する。

 柳沢さんは、旧7帝大と東京工業大学を除く国立大工学部で構成する「国立大学53工学系学部長会議」の「未来を(つく)る工学ワーキンググループ」のメンバー。千葉大学(千葉市)の野口博工学部長(62)らとともに、子どもたちに科学技術への興味と関心を高めてもらうため、小・中学校、高校教員の実験力向上の支援を行っている。

 工学部による講習は今年度、「子供たちに知ってほしい機械システム工学の最先端の話」(宇都宮大学)、「市民のための分かりやすい防災の知識」(山口大学)など、各地で開かれる。できるだけ、理科専門以外の教員にもわかりやすい内容を準備する予定だ。

 とはいえ、どれだけ受講者が集まるのか、必ずしも楽観視はできない。

 山梨大学(甲府市)では、昨夏に医学部と共同で準備した予備講習「工学と教育・理科への関心を育てるさまざまな取組」に人が集まらず、当初2日間の予定だった講習を1日にせざるを得なかった。このため、今年度の本講習では、工学部系の講座は予定されていない。

 同大では「講義を聞くだけならともかく、認定試験があるので難しいと敬遠されがちなようだ。今後も開講の検討は続ける」と話す。

 新興大学は、講習による大学の知名度アップに期待する。

 星槎(せいさ)大学(本校・北海道芦別市)は、4月7日時点で、全国21か所での対面講習と通信講習に、3000人を超える申し込みがあった。3月末までに申し込めば受講料割引という特典があったことも大きいが、不登校、発達障害などに対応した高校を運営する学校法人が5年前に開校したばかり。新興大学としては、かなりいい出だしだ。同大では、「これを機に大学の名も広めたい」と意気込む。

 テレビドラマ「3年B組金八先生」の舞台だった中学校跡地に2007年春に開校して3年目の東京未来大学(東京都足立区)も、延べ4000人の受講受け入れが可能な講習を準備している。

 新制度を、様々な思惑を秘めた関係者が見守る。(京極理恵)

 未来を創る工学ワーキンググループ 2007年11月発足した「工学部離れ対策ワーキンググループ」が、08年10月現名称に改称。教員免許を持たない博士号取得者に高校教員への道を開く働きかけや経済社会の推進力としての工学の魅力の広報、中高生に工学系学部への進学を勧めるウェブサイトの開設準備などを進めている。

2009年4月15日  読売新聞)
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