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(5)「月で建築」夢語り合う宇宙建築について、大学教授や学生、社会人らが語り合う会が可能性を広げる。 「月は物を運ぶのも大変だし土質も複雑、場所によって環境がかなり違う」「月面上のコンクリートはどこから持ってくる」「宇宙服が進化すればシェルターとしての建築物は不要かも」 月探査衛星「かぐや」が任務を終えて月面に落下した6月11日の夜、東京・本郷の東京大学工学部にある松村・藤田研究室で、月面基地や軌道上の生活空間の模型を前に、十数人の男女が熱心なやりとりを繰り広げていた。 2002年に始まった「宇宙建築研究会」。松村秀一教授(51)(建築工法・建築生産)のもとに宇宙建築に興味を持つ留学生2人が偶然居合わせたのをきっかけに集まった「宇宙好き」たちが毎月1回、宇宙という共通の夢に向けて意見をぶつけ合う。 メンバーは、研究室に所属するトルコ人宇宙飛行士候補のアニリール・セルカンさん(同大助教)、大学院生のほか、慶応、東海の両大学の教授、宇宙航空研究開発機構に勤務経験のあるゼネコン社員、宇宙飛行士インストラクターなど多彩。各人が研究テーマや構想を持ち寄って紹介・批判しあっている。 研究会が始まる前は宇宙にさほど関心のなかった松村さんも、今では「『上下』の感覚、重力がない宇宙建築は新鮮な発想を生む。発展途上国での建築など地上にも応用でき、奥深い」などと面白がる。 ◎
研究会のメンバーで宇宙建築が専門の 十亀さんは5月、同大法学部1年生の特別授業で、学生たちに宇宙開発を“体験”してもらった。自身が考案した「ソガメ折り」で折りたたんだ小さな星形のリング。この端を引っ張ると、むくむくと膨らんで大きな筒状になるのを見てもらったのだ。 宇宙を行き来する交通手段は、有人宇宙船か無人ロケットしかなく、大きな容積の荷物を運ぶのは難しい。ソガメ折りを使えば、宇宙ステーションなどの人が宇宙で生活するほどの巨大な構造物を小さく折りたたんで、宇宙で広げるだけでいいという。 この不思議な「折り紙」は、学生の関心を引いたようだ。十亀准教授が「将来の宇宙技術に応用できる」と解説すると、出席していた枝村雄気さん(18)は「人間が宇宙に活動領域を広げる上で、この折り方が必要になってくると思うと、興味がわく」と話した。 「宇宙は漫画や映画でも目に触れる。科学の入り口として親しみやすい」と十亀准教授。研究会は8月に、高校生や一般人向けにわかりやすく宇宙を取りあげた「宇宙で暮らす道具学」(雲母書房)を出版する予定だ。 現在は不可能でもいつかは、という前向きな構想が、夢をふくらませていく。(京極理恵、安田幸一) ソガメ折り 1997年に十亀准教授が考案した。星形のリング状に小さくたたまれたリング(写真の左)の端を引くと、大きく膨らんだ筒状の構造物(右)になる。(写真は十亀さん提供) (2009年6月16日 読売新聞)
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