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(7)入社前から育成スタート企業も新入社員の採用・教育に社会人基礎力を採り入れ始めた。 スーツ姿の緊張した学生34人が会議室に集まる。8月26日、富士通(東京・港区)の川崎工場(川崎市)で行われた「ATTチャレンジ」。採用内定から入社2年目まで約3年かけて社会人基礎力を養う、同社の育成プログラムの初日だった。 「残りの学生生活を充実させるため、あなたが実現したい目標を考えましょう」。講師の説明に学生は「国際学会で発表」「世界一周旅行」などと用紙に書き込んだ。 続けて、「それを実現するために欠かせない基礎力は?」との質問に、内定者は悩んだ。主体性か計画力か、他人に働きかける力か。身近なテーマで自分の能力を見つめ直させるのが、この日の狙いだ。 「ATTチャレンジ」は、実は学生が採用選考に応募する時点から始まる。応募者は3能力12要素の基礎力について、5段階の自己評価を提出するからだ。同社の林田淳吾・人材採用センター担当課長(41)は「自己評価だけで選考から落ちることはないが、自己PRと矛盾すれば面接で追及している」と話す。 ◎
このプログラムの最大の特徴は、内定後は自己評価を9段階に拡大し、内定期間に3回、入社後の2か月間に2回、その後も2年目終了までに4回と、計9回も繰り返すことだ。目標を立てて行動を振り返る「PDCAサイクル」を習慣づける意味もあるが、同社は「評価が5から7に上がることより、『なぜ上がったのか』『何がまだ足りないのか』を考えることが重要」(林田課長)としている。 同社は、経済産業省が2005年度、基礎力12要素を公表したことから、「基礎力は大学と企業の共通言語」と認識。08年度から「ATTチャレンジ」を始めた。内定者の早稲田大4年、今西 ◎
資生堂(東京・中央区)も08年度から、基礎力を採り入れた3週間の新人研修「STARTプログラム」を始めた。 同社が目指すのは「美意識」「自立性」「変革力」を備えた社員の育成。だが同社人事部は、「若手社員は自ら考えて行動し、目標までやり通す面が弱い」(深沢晶久・人材開発室長)とみて、基礎力の育成に乗り出した。 新入社員は「得意先の社長」を演じる管理職社員に対し、同社の理念や仕事への思いをプレゼンテーションするなど、「自分の言葉で語る力」を鍛える。同社が独自に設定した27項目の能力要素が伸びているのかどうか、日々振り返るための時間も設けている。 深沢室長は「最近の若者はすぐ答えを求めたがるが、明確な正解がない中で考えていくのが仕事。それを学んでもらうのもプログラムの狙いの一つ」と語る。 社会人こそ、基礎力の自己評価を続けていく必要がある。(瀬畠義孝、伊藤甲治郎) ATT 経済産業省が定義する社会人基礎力の3大能力である「前に踏み出す力(action)」「考え抜く力(thinking)」「チームで働く力(teamwork)」の英語の頭文字を取った略称。社会人基礎力の英略語として用いられる。 (2009年9月18日 読売新聞)
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