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(1)殺処分の現状 命の重さ伝え犬や猫が捨てられ、やむなく殺される現実から、命の大切さが学ばれていく。 「毎週金曜にあのスイッチを押したら、もういないの。ペットを捨てるとか、命は要らないなんて考えないで。取り返しがつかないんだよ」 6日、秋田県由利本荘市立亀田小学校で開かれた「命の教室」。高学年児童約40人を前に、同県動物管理センター(秋田市)の職員で獣医師の上田かおりさん(39)が語りかけた。スイッチとは、センターに持ち込まれた犬を炭酸ガスで安楽死(窒息死)させる機械の作動ボタンのことだ。 1995年から14年連続、自殺率が全国ワースト1の秋田県。県内の学校を回る同センターの命の教室は、2006年10月、自殺防止対策の一環として始まった。加沢敏明・同センター所長(56)は「殺処分せざるをえない実態と職員の思いを知らせ、命を大切にする心を学んでもらいたい」と狙いを説明する。 同センターでは昨年度、犬541頭と猫1378頭が、炭酸ガスや薬物で処分された。教室では、処分の状況や新しい飼い主に引き取られる経過を映像で紹介。人間やウサギ、犬の心音を聴き比べ、ボランティアが連れてきた飼い犬たちとふれあった。参加した5年生の山崎佑弥君(11)は、「家で犬を飼っているけれど、絶対捨てない」と語った。 同センターにはこのほか、「(犬の心音を聴いて)命ってこういう音なのか」(小2女子)、「5年の時、いじめられて死のうと思ったけど、今日話を聞いて、あの時死ななくてよかったと思う」(小6男子)、「小学校の時にいじめをしていたけど後悔した」(中1女子)などの感想が寄せられている。 ◎
「犬や猫はきちんと飼えば15〜16年は生きる。私たちはその命を救おうと挑戦しているの」 21日、NPO法人アニマルレフュージ関西(ARK、大阪府能勢町)のエリザベス・オリバー理事長が、ボランティア学習に訪れていた大阪インターナショナルスクール(同箕面市)の6年生児童19人に、自らの思いを語った。 ARKは、捨てられる犬や猫のシェルターとして、英国人のオリバーさんが1990年に設立。これまで3000頭以上に新しい飼い主を見つけてきた。生活苦や高齢化で犬猫を手放そうとする飼い主が順番待ちの状態で、兵庫県内に新施設を作る予定という。 この日、同スクールの児童らは、犬の散歩や猫の遊び相手などを体験。山下由意君(11)は「お金もないのに、動物たちを助けようという人たちがこんな施設を作るなんてすごい」と話していた。 オリバーさんは「子どもはすぐペットに興味を失いがち。しつけができていないことも捨て犬の要因になる。最後まで責任を持って」と話している。(京極理恵) 年間約30万頭 映画でも啓発ペットフード協会の推計によると、国内では約2700万頭の犬や猫が飼われている。一方で、約34万頭が動物愛護センターなどに引き取られ、約30万頭が殺処分されている。 動物保護管理法施行時の1974年度、約125万頭が引き取られ、98%が殺処分されたのと比べると大幅に改善したとはいえ、依然として多い。このため、2006年施行の改正動物愛護管理法では、ペットの遺棄や虐待に対する罰金が30万円以下から50万円以下に引き上げられた。 各地の愛護センターや愛護団体の動きも活発で、新しい飼い主を探す譲渡会や犬のしつけ教室などが頻繁に開催されている。秋田県のような出前授業も各地で行われ、和歌山県や岐阜県では同じ学校に年に何度も訪れている。犬猫殺処分の実態を伝えるドキュメンタリー映画「犬と猫と人間と」(飯田基晴監督)も、全国で順次公開中だ。 「かわいがったり、食べたり、殺したり。人間社会に動物を巻き込んだ時点で、人間と動物の関係は矛盾している。それを知った上でできるだけいい関係を作ろうとしているのが、現代の私たちだ」と、石田おさむ・ヒトと動物の関係学会会長(63)は話している。(「おさむ」は「口の下に「耳」、右に「戈」) (2009年10月27日 読売新聞)
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