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子どもと図書館

(5)母親たちの運動で復活

 「のりものえほん」「やぎ」「ねずみ」「とり」……。テーマごとに分類された絵本が、表紙が見えるように置かれている。木の机で絵本を広げる親子が、動物を指さして「大きいねー」と喜ぶ。静岡県沼津市の「沼津こども図書室」。JR沼津駅前にある市の子育て支援施設の一角を改装して、今年2月にオープンした。

 絵本と児童書約5000冊を収蔵する施設の設立を主導したのは、母親たちの運動だった。きっかけは昨年9月、イトーヨーカドー沼津店に併設されていた「子ども図書館」の閉鎖。選書が充実し、利用しやすい自由な雰囲気を何とか残そうと、利用者の山田由美子さん(46)らが「沼津子ども図書館応援団」を設立した。

 応援団は、利用者ら約2500人に新しい立地希望などについてアンケート調査を実施し、昨年11月に栗原裕康市長に直談判。市は蔵書の引き受けとともに、子育て支援施設の改装を決めた。本棚や机、貸し出しシステム、装飾のぬいぐるみまで引き継いだ。

 母親たちの要望で、施設の愛称は、詩集の名前から「パタポン」と付けられた。支援団体「パタポン友の会」も設立され、読み聞かせ会が月に2回開催されている。「良い本を子どもに手渡す場所が引き継げたことを生かしたい」と山田さん。今後は絵本を紹介する広報紙の発行も検討している。

 沼津の閉館と同日、全国7か所のイトーヨーカドー併設図書館も一斉に姿を消した。各地で同じく“復活”に向けた取り組みが起こっている。

 福島県郡山市の母親たちも「子ども図書館応援団」を作った。代表の蛭田恭子さん(37)らが再興を求める2622人の署名を市に提出。かいあって、蔵書は今年4月に市に寄贈されたが、一括して引き受ける施設はなく市内各施設に分散配置される方向だ。

 応援団は「当時の自由な雰囲気を伝えたい」と、月に1回、雰囲気を再現した企画を実施している。会場には母親たちが絵本を持ち寄って自由に読める形で並べ、従来の図書館の写真も壁に飾る。

 そうした熱心な活動を知った市は、蔵書の受け入れ先の図書室の運営に、応援団の力を借りることにした。まず選書作業を手伝う。「子どもたちの感性で、興味を持った何の本でも手に取れる図書室をつくりたい」と蛭田さん。「母親パワー」による、手作りの子ども図書館づくりが始まろうとしている。(田島大志)

2010年7月1日  読売新聞)
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