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学習塾は今

(4)公立一貫 新たなニーズ


宮田講師(右)の合図で一斉に問題に取りかかる塾生たち(6月19日、東京・荒川区の栄光ゼミナール日暮里校で)

 「論理パズル系の問題を解くときはまず、考えを表などにするんだよ」。6月中旬、「栄光ゼミナール」日暮里校(東京都荒川区)で行われた「公立中高一貫校対策コース」の都立小石川中等教育学校対策ゼミ。ストップウオッチを押す講師の合図で、塾生たちは問題に取りかかった。

 小学生から高校生までが通う栄光ゼミナールが、小学5、6年生対象の公立中高一貫校コースを大手進学塾で先駆けて設けたのは2004年。都立初の公立中高一貫校の白鴎高校付属中学校が開校する前年のことで、補習コースの塾生の保護者からの要望がきっかけだった。

 現在は、首都圏1都3県の全教室数の6割にあたる約180教室で開設している。横田保美(やすみ)・広報室長(59)は「新たなニーズに迅速に対応するのが塾の役目。予想以上に希望者が多かった」と話す。

 公立一貫校の開校は、これまでとは異なる中学受験層を生み出した。

 中学受験情報誌「進学レーダー」の井上修編集長(43)は、「安い学費でいい教育を受けられるのならと、受験を考えていなかった層が公立一貫校を目指すようになった。特に首都圏では、近年の中学受験の『カジュアル化』に拍車をかけている」と分析する。ただ、私立受験と異なり、「公立一貫校を受けるために塾通いをする子どもは少ない」とみている。

 とはいえ、栄光ゼミナールで公立一貫コースを担当する宮田篤史講師(33)は「小学校で学んだ内容では太刀打ちできない。特別な勉強が不可欠」と言う。

 まず、公立一貫校の入学者選抜で実施される適性検査(入学試験)は、特定の科目の知識を問う問題ではなく、読解力や数的処理力、記述力など論理的思考力を問う傾向が強い。

 また、各校独自の教育方針があり、出題にも特徴がある。

 だが、入試はおおむね高倍率で、合格する確率は低い。「身に着けた力は中学校での学びや高校受験にも役立つと、保護者には説明している」と、栄光ゼミナールの横田室長は話す。

 森上教育研究所の森上展安(のぶやす)代表(57)は、「東京で初の公立一貫校の生徒が来年大学受験を迎える。その実績いかんで公立一貫校全体の人気が収まる可能性もあり、どの塾も先行きを見極めかねているようだ」とみる。

 公教育の変化が受験動向に影響をもたらし、進学塾での指導を変えている。(奥田祥子、写真も)

 メモ 公立中高一貫校は、1999年の学校教育法改正により、設置が認められた。今年度は、中等教育学校と併設型の公立中高一貫校を合わせて全国に96校。首都圏1都3県では、東京都に11校、神奈川、埼玉、千葉各県に2校ずつある。都立10校の平均受験倍率は6.83倍。受験競争の低年齢化を招かないよう、学力テストは行わず、適性検査などが実施されている。

2010年9月9日  読売新聞)
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