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    子どもの安全 みんなで考える

    「逃げ方」体験教室 親子で通学路点検

     今年9月に神戸市で小学1年の女児が殺害される事件が起きるなど、子どもが被害にあう事件が後を絶たない。

     学校や住民による巡回の強化や通学路の安全対策などのほか、いざという時の身の守り方を子どもに伝える教室も各地で開かれている。

     11月上旬、横浜市瀬谷区の公園で地元の自治会が主催した体験型安全教室。親子連れら約60人の参加者が2人1組になり、向かい合った。新聞紙を丸めた約80センチの棒を縦向きに地面に置き、手を伸ばしても届かない距離を保つ。

     「知らない人に話しかけられた時、コミュニケーションはとれるが相手に触られない距離です」。講師の安全インストラクター、武田信彦さん(37)が説明した。

     武田さんは犯罪防止に携わるNPOでの活動経験や、安全教育に関する著書がある。年間約130回、学校や地域などが開く安全教室で講師を務めている。

     この日の教室では、遊びながら80センチの距離を覚えようと、「歩く鬼ごっこ」が行われた。「鬼」役の武田さんと、新聞の棒より長い距離を保つのがルールだ。

     いざという時、子ども自身が身を守るコツも動作を交えて学んだ。知らない人などに肩に手を置かれたときは、一歩大きく下がって相手の腕の下をくぐり抜け、後方に逃げる方法=イラスト=もある。相手のスキをつく効果があり、身長差がある子どもは、素早くすり抜けやすいという。

     小学4年の長女と参加した主婦の梶原美代子さん(46)は「夜は1人で外出させないよう注意しているが、逃げ方などは参考になる」と話していた。

     神奈川県伊勢原市教委が11月中旬に開いた教育関係者向け講習会でも、約30人が、子どもの護身術などを学んだ。市立高部屋小の井上よしみ教諭(34)は「いざという時に子どもがパニックにならないか心配な面もある」と語った。

     武田さんは、子どもが1人で歩く時などに周囲に目を配るよう、日頃から伝える必要性を訴える。危険を感じたらすぐに逃げることも重要だ。

     通学路などの安全を点検する取り組みも各地で進む。文部科学省の2011年度の調査では、全国の小学校の90%が防犯の「安全マップ」を作っている。例えば、塀で囲われた空き地や公園などは周囲の目が届かず、注意が必要だ。立正大の小宮信夫教授(犯罪学)は「マップ作りなどを通して通学路を子どもと一緒に歩き、危険な場所を見分けられるようにすることが大事だ」と話す。

     地域住民が校内外を巡回している小学校は94%に上るが、ボランティアの協力を得るのが難しいケースもある。東京学芸大の渡辺正樹教授(安全教育学)は「子どもを守るには学校だけでなく、保護者や地域の目が欠かせない。学校と地域が普段から連携し、地道な防犯活動を続けてほしい」と訴えている。(名倉透浩)

    2014年12月01日 08時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun