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    教育に関する様々な話題を随時紹介、解説します。

    授業に「笑い」 効果あり

    学習意欲高め発想力も

     落語や漫才などの笑いを学校の授業に取り入れる試みが注目されている。

     「楽しい」「面白い」と感じることで学習効果がアップし、発想力や創造力、表現力も向上するという。笑いは教育に新たな息吹を吹き込めるか――。

    児童が漫才

     大阪府池田市の市立石橋小学校で9月末、第1回「笑育わらいく」の授業が行われた。4年生約90人が集まった多目的室に「ろうそく90本もってこい!」と叫ぶおじいさんの横顔が映し出された。「何屋さんのポスターだと思う?」。司会の芸人・やのぱんが尋ねると、「お寺」「すし屋」と声が上がる。

     正解は「ケーキ屋」。さびれた商店街に、90歳の誕生日を迎えたおじいさんのユニークなポスターを貼ったら、客足が戻った。「笑いにはこんなすごい力があるんだよ」。児童から「お~!」と歓声が上がった。

     同小では4年生の2学期に「笑育」を10回行う。12月の最終授業では、児童が作った漫才を披露する。

     「笑育」は松竹芸能(大阪市)が2012年に始めた。14年に大阪府教委と連携し実践校を募ったところ、200校以上から応募があった。11月からは長崎県の小中学校でも行われる。

     大阪府堺市の府立金岡かなおか高校は15年度から、生徒に漫才づくりを学ばせる「笑育」を通年授業にした。授業を取り入れたのは、放送作家として30年間テレビの番組制作に携わった異色の民間人校長、和栗隆史さん(54)。「漫才づくりには、創造力や論理的思考力、表現力など、正解のない時代を生きる子たちに必要な要素が詰まっている」と語る。

    プロの出前

     笑いで授業を活性化させる試みも進む。東京都台東区では02年度から漫才師が出前授業をしており、今年度は区内18の小学校で行われる。9月11日には区立東浅草小学校で、漫才コンビの宮田ようしょうさんが4年生に環境の授業を行った。

     「8万1142トンって何の数字?」と昇さんが聞くと、「お母さんの体重」と陽さんがボケる。「ゴミの重さ!」。児童の声に、昇さんは「正解。台東区から1年間に出るゴミの重さです」と笑顔を見せた。石井二郎校長(63)は「笑いは普段授業を聞かない子を夢中にさせ、クラスに一体感をもたらす」と話す。

     宮城県石巻市立山下小学校で4年生の担任を務める佐々木潤教諭(53)は、笑いを授業に生かす「お笑い教師同盟」のメンバーだ。「枕草子を暗唱するのに、なんで先生を見つめるの。格好いいから?」。笑い声と共に「自意識過剰!」などの声が飛ぶ。佐々木さんは早押しクイズやラップで覚える算数など、遊びの要素を取り入れた参加型の授業を行う。「クラスには家庭環境が複雑な子も、震災後に仮設住宅から通う子もいる。教室を一番安心できる場所にしたい」と話す。

     演劇を活用した授業を指導する劇作家の平田オリザさんは「お笑いは子どもに身近な文化で、学ぶ意欲を高め、自尊感情を育む。正解が一つでない授業は個性を発揮しやすいので、日常の学習に幅広く応用してほしい」と指摘している。(鈴木あづさ)

    2015年11月16日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun