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    教育に関する様々な話題を随時紹介、解説します。

    首相直属で改革提言…教育再生実行会議

    スピード重視

     政府の教育再生実行会議がこれまで8次にわたって提言をまとめました。どのような趣旨の会議でしょうか。

     教育の改革を最重要課題の一つとしている安倍首相の下、21世紀にふさわしい教育のあり方を話し合う有識者会議です。第2次安倍内閣発足直後の2013年1月に初会合があり、これまで計31回開かれました。メンバーは首相、官房長官、文部科学相に加え、教育関係者や経済界、地方自治体の長ら16人です。早稲田大の鎌田薫総長が座長で、三菱重工業相談役の佃和夫さん、熊本県知事の蒲島郁夫さん、シンクロナイズドスイミング五輪メダリストの武田美保さんらが名を連ねています。

     実行会議では、テーマを決めて集中的に議論してきました。まず取り組んだのは、いじめ問題です。3回目の会合で第1次提言をまとめ、いじめを防止するための法整備、学校や家庭、地域が一丸となっていじめに向き合う体制作り、道徳の時間を教科に格上げすることを提案しました。

     第2次提言では、教育委員会制度について、首長に教育長の任免権を与えた上で、教育長に教委の権限と責任を一元化するように改革を求めました。

     その後も、小学校の英語を教科にすることや、大学入試センター試験に代わる新たなテストの導入、小中一貫教育の制度化などが打ち出されました。約2年半の間に出された提言は八つ。スピードを重視した結果ですが、各テーマに費やされた時間が少なく、議論が深まっていなかったのでは、との声もあります。

     教育政策を議論する場としては「中央教育審議会」(中教審)がありますが、違いは何でしょうか。

     中教審は、文科相の諮問機関でより専門色が強いと言えます。ただ答申まで時間がかかる、という指摘もありました。そこで教育改革に特に意欲を示す首相の時に直属の会議が設置され、議論を主導してきました。会議が複数あると役割分担が不明確になりがちという面がありますから、今回は、実行会議が幅広い見地から方向性を示し、中教審が専門的な検討をして制度設計をすることにしました。教育再生の「両輪」というわけです。

    道徳の教科化など実現

     提言は政策に反映されるのでしょうか。

     例えば、第1次提言を受け、中教審は14年10月、道徳を「特別の教科」とするよう答申。文科省が今年、答申に沿うよう必要な規則を改正しました。小学校は18年度、中学校は19年度から、教科書を使う道徳が始まります。

     小中一貫教育を実現する改正学校教育法も来年4月に施行されます。教育委員会や大学入試分野などでも、提言に沿った改革が進みつつあります。実行会議は、予定された課題については提言を終えました。今後は、提言が着実に実行されるよう、フォローアップしていくことになります。(加藤理佐)

    2015年08月14日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun