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    教育に関する様々な話題を随時紹介、解説します。

    自治体・学校の責務 明確に…いじめ防止対策推進法

    施行後も自殺相次ぐ

     いじめ防止対策推進法が施行されてから2年がたつと聞きますが、そもそも何を決めた法律なのでしょうか。

     いじめを定義し、防止に向けた国や自治体、学校などの責務を明確化した法律です。2011年に起きた大津市の中学2年男子の自殺問題では、教員はいじめを知っていたのに、学校全体では事態を放置していました。対策推進法はこの問題をきっかけに、悲劇が繰り返されないようにと作られました。「いじめ」の定義を、対象になった児童生徒が心身の苦痛を感じているものとし、体を傷付けたり、暴力を振るったりすることは無論、仲間はずれやインターネットへの悪意のある書き込みなども含めていじめとして明確に禁じています。

     学校には、保護者、地域住民、児童相談所など関係者と連携していじめ防止と早期発見に取り組むよう求めたほか、いじめ防止基本方針を定め、具体的に機能する防止組織を置くよう義務づけました。いじめが疑われる場合はこの防止組織で情報を収集し、教育委員会に報告します。

     また、被害者が自殺を考えるような、心身に重大な被害が及びそうな場合や、いじめが原因で不登校になっている場合などを「重大事態」とし、重大事態では学校または教育委員会が調査組織を作って事実関係を明らかにし、必要な情報を保護者らに提供することになっています。

    対策の形骸化懸念

     法律ができた後も、いじめを受けていた生徒の自殺が相次いでいます。

     文部科学省が調べた結果、法施行後の半年間だけでも、全国の小中高校などで「重大事態」が180件以上起きていました。自殺に至ってしまったケースでは、教職員がいじめに気付けなかった、気付いていても学校全体で対応しなかった例が目立ちました。

     今年7月、いじめ被害を訴えていた岩手県矢巾やはば町の中学2年男子が自殺した問題でも、この生徒はいじめや自殺について示唆していたのに、情報を教職員が共有できませんでした。法律で決めた対策の形骸化が懸念されており、文科省は8月4日、いじめ対策の緊急点検を求める通知を改めて出しました。

     どうすればいじめを防ぐことができるのでしょう。

     いじめは見えていなくても必ず起きている、と発想を転換することが大事だと言われます。「冷やかし」や「からかい」など、ささいに見えがちなことでも、複数の相手から繰り返されれば自殺を考えるほど追いつめられることがあります。

     国立教育政策研究所の調査によると、9割近くの児童生徒がいじめの被害者にも加害者にもなっていました。同研究所によると、子どもがいじめに加担する背景には、様々なストレスが大きな要因としてあるそうです。安心して通え、授業や行事で充実感が得られる。そうした学校運営がいじめ防止の早道になると同研究所の専門家は話しています。(山田睦子)

    2015年09月18日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun