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    教育に関する様々な話題を随時紹介、解説します。

    国を支える技術者養成校…パキスタン

     パキスタンの首都・イスラマバードにある国立の職業訓練校「建設機械技術訓練所(CTTI)」は、土木工事や自動車生産を担う技術者を養成している。

     同国では建設や自動車産業の現場を支える中堅技術者の数が十分ではないため、卒業生は企業から引っ張りだこだ。

     同校は1986年に開校した。3年制の土木、自動車など4コースのほか、1~6か月の短期間で様々な技術を教えるコースも多数設置している。

     日本なら高校生にあたる年齢の男子生徒約1500人が学ぶ。生徒は国内各地から集まっており、全体の3割近くは校内の寄宿舎で生活する。

     新入生の約5%は、アフガニスタンとの国境沿いに広がり、「国際テロリズムの温床」と言われてきた「部族地域」から受け入れている。イスラム過激派に走る若者を減らすのが狙いだ。

     4月上旬、自動車コースの授業。教員がエンジンの動きを再現する「シミュレーター」を使いながら、エンジンのしくみや故障時の対処法などを説明すると、生徒たちは真剣な表情で聞き入っていた。

     部族地域出身で、同コース1年のアシム・アリさん(18)は「故郷には満足な教育を受けられる学校がない。ここでは多くの知識を系統立てて学べる」と笑顔を見せた。

     同校に対しては開校以来、日本の国際協力機構(JICA)が、校舎や寄宿舎の建設から、教育のノウハウの提供まで幅広く援助してきた。グラウンドに80台以上並ぶブルドーザーやショベルカーなどの重機も、JICAの援助によるもので、いずれも日本製だ。

     エジャズ・フセイン校長(46)は「これだけの重機がそろっている学校はほかにない。当校の生徒に対する評価も高く、企業のほうから採用に訪れる。他の多くの職業訓練校では、生徒が自力で就職活動をしているのに比べて、当校の魅力にもなっている」と話す。JICAは今後も、教育内容の拡充など支援を続けていく方針だ。(イスラマバード支局 丸山修)

    半数近くが就学せず

     パキスタンの教育支援団体「アリフ・アイラーン」が昨年まとめた報告書によると、同国で小学校に入学する5歳から16歳までの約5300万人のうち、学校に通っていない子どもは47%(男子42%、女子53%)で、北西部の部族地域に限ると62%に上る。広範な自治が認められている部族地域には、政府の教育支援が十分に届かず、若者がイスラム過激派に加わる一因になっている。

    2015年05月02日 08時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun