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    教育に関する様々な話題を随時紹介、解説します。

    組み体操のけが年間8500件超、規制求める声

    • 「2段なら安全とも限らない」などの声も出た(3日、東京・永田町で)
      「2段なら安全とも限らない」などの声も出た(3日、東京・永田町で)

     小・中・高校の「組み体操」中に児童・生徒がけがなどをする事故が多発している事態を受け、けがをした子どもの家族や国会議員、地方議員らが集まった勉強会が3日、東京・永田町の衆議院第一議員会館で開かれた。参加者からは「少なくとも段数制限などを文部科学省が要請すべきだ」「危険なのですぐに中止すべきだ」など、早急な対策を求める声が出された。

     組み体操は集団体操の一種で、四つんばいになって重なる「ピラミッド」や、立った人の肩の上に乗る「タワー」などがあり、その華やかさなどから学校の運動会や体育祭で“定番”かつ“花形”化している。

     しかし、上にいる子どもが転落したり、内部が崩れて子どもが重なり合ったりして、けがを負うことが少なくない。「組み体操」中の事故によるけがや(衝撃などから生じた)病気の件数は、全国の小中高で計8592件に上る(2014年度、日本スポーツ振興センター調べ)。

    千葉県松戸市は「中止」に動く

    • 内田さん
      内田さん

     このため、全国各地の教育委員会なども対応に動き出した。千葉県松戸市では15年5~9月にかけて、市内の小中学校23校で行われた組み体操で64人がけがをしたうえ、うち10人が骨折だった事態を重視し、「中止」を含む方針を検討中だ。大阪市や大阪府八尾市では「ピラミッド」は5段、「タワー」は3段という高さ制限による事故防止策を打ち出している。

     この日の勉強会では、学校事故に詳しい内田良・名古屋大学准教授(教育社会学)が、組み体操は頭や首、腰をけがする割合が跳び箱などに比べて高く、後遺症も危惧されることを指摘。さらに、近年は10段や11段の「巨大化」や、幼稚園でも行う「低年齢化」が進むなど危険度が増していることから、「『一体感』『感動』のために子どもにけがをさせていいのか」と警告を発した。ただ、学校は前年度の行事を否定しにくい前例主義が強い上、保護者が喜んで組み体操を支持しがちな実情があるという。このため、「学校が自主的に規制するのは困難で、文部科学省が少なくとも『安全な組み体操』実現に向けて積極的に動くべき」とした。

    • 庄古さん
      庄古さん

     また、庄古知久・千葉県松戸市立病院救命救急センター長は、「組み体操で上にいる子どもは(下の子どもが体勢を崩したりして)自分の力が及ばないところで事故に巻き込まれ、かつ後頭部から転落しやすいなど、大変危険。学校での組み体操はすぐに中止すべき」などと話した。

     さらに、東京都内で14年、小学校6年生が4段タワーでけがをした事例があり、その母親が「娘は事故で人生が変わった。中学生になった今も体育の授業を受けられないこともある。子どもたちの命を守ってください」と訴えた。

     (メディア局編集部 京極理恵)

    2016年02月03日 17時31分 Copyright © The Yomiuri Shimbun