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    社会に出ることを意識して活動中の大学生、前向きに働く若手社員らを紹介します。

    サッカーで子供に夢を

    追手門学院大4年 古川十豊(しゅうと)さん 22

    ネパールの被災地へ

    • 「子供たちが夢を持って生きられるよう、サッカーがうまくなりたいという思いを応援したい」と話す古川さん(大阪市都島区で)=浜井孝幸撮影
      「子供たちが夢を持って生きられるよう、サッカーがうまくなりたいという思いを応援したい」と話す古川さん(大阪市都島区で)=浜井孝幸撮影

     幼い頃から親しんできたサッカーを通じ、アジアの子供たちに夢や希望を持ってもらう活動をしている。大学1年だった2014年、日本の教育現場の視察で追手門学院大を訪問したネパールの大臣から「子供の教育環境が厳しい」と聞いたのがきっかけだった。関係者を頼り、15年3月に現地を訪れると、学校に行けずに働いたり、貧しさから児童養護施設に預けられたりした子供が大勢いた。

     1か月後、ネパール地震が発生した。義援金を集めて、同年8月に現地でサッカーのイベントを開くと、家が壊れてテント生活をおくる子供たちに笑顔が戻った。16年3月、現地の学校や児童養護施設計3か所にサッカークラブをつくり、翌月、支援団体「ネパールこどもクラブ」を設立。資金を集めようと日本でチャリティーフットサル大会を開いたり、中古の靴やボールを現地に届けたりしている。

    養護施設にクラブ

     サッカーの可能性を信じるのは、高校時代の体験が基にある。3歳の頃からボールを蹴り始め、クラブチームに所属したが、高校の部活では控えにまわることが多かった。「何をすべきか」。悩んだ末に副主将として部員をまとめることに徹した。「チームが一つになれたのは、お前のおかげだ」と周囲に感謝され、「自分を高めることができた」と振り返る。

     大学では経済学を学ぶ。先進国の消費社会が開発途上国の搾取につながり、子供たちにしわ寄せされていると感じており、「社会を変えるためには、僕たち若者が動かないといけない」と語る。企業には就職せず、国際協力活動に取り組むつもりだ。

     活動の基盤作りのために、今月から1年間の予定で休学した。「カンボジアやミャンマーなどの児童養護施設にもサッカークラブをつくり、子供たちのミニワールドカップを開きたい。夢や理想を諦めない気持ちを育んでほしい」と思いを膨らませる。(宮原洋)

    スポーツで国際協力広がる

     2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて、スポーツを通じた国際協力の動きが広がっている。政府はスポーツ団体や企業と協力し、開発途上国など100か国以上の1000万人以上を対象に、指導者を派遣するなどの国際貢献を進める計画だ。

     国際協力機構(JICA)も12年度以降、16大学と連携し、運動部員らの派遣に力を入れてきた。担当者は「派遣先で刺激を受け、指導者を目指すなど新しい道を見つけたり、日本の恵まれた環境に気付き、競技に取り組む姿勢が変わったりする学生も少なくない」と話す。

    ネパール地震

     2015年4月、ネパールの首都カトマンズの北西約80キロを震源に発生したマグニチュード(M)7・8の地震。ネパール国内だけで約9000人が死亡、全壊家屋は約73万戸に上ったが、資金難や労働力不足で復興は進んでいない。日本ユニセフ協会によると、学校では約5万教室が損壊し、100万人以上の子供が学ぶ場を失った。

    2017年10月03日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun