快適空間に最適な設備を
日建設計
五明
遼平さん 26
ホテルの空調を設計
空調や換気、給排水など、建築設備の設計を行う。首都圏の研究所の建て替えプロジェクトなどを担当し、図面と格闘する毎日だ。建物は外観など見える部分が注目されがちだが、「利用者が快適に過ごせる空調などの設備も重要。その機器や技術を決めるのが私の仕事です」と胸を張る。
4月に入社し、7月に研修を終えたばかり。ホテルの客室などの空調設備の設計を任されたとき、快適な温度を保つための計算を間違えてしまった。壁やガラスを通して室内に入る熱の影響などを考慮する必要があり、修正に1週間もかかった。「計算を間違えると導入する機器も変わり、コストが余計にかかってしまう。設計の重要性を身をもって知りました」と振り返る。
大学は理工学部に所属。3年生の秋の授業で、建築設備の設計の仕事をする社会人の話を聞き、この職種に関心を持った。その後、ビルの表面温度を下げる技術などに興味がわき、専門性を高め、将来は建築設備の設計の仕事に就きたいと大学院に進学した。
大学院で省エネ住宅作る
大学院では、企業と大学が連携し、住宅の省エネ性能などを競うコンテスト「エネマネハウス」に参加。約20人の学生で資金や資材の提供企業を募り、半年以上かけてモデルハウスの企画から設計、施工、評価まで行った。
モデルハウスの展示会場には、建築関係者だけでなく、親子連れなども来場し、コンセプト(基本概念)や技術を伝えるのに苦労したという。
この経験から、就職活動では、面接官にわかりやすく研究成果を伝えようと写真やイラストを交えたA4判のシートを作成。同じ職種を志望する学生が周囲にいなかったことから、エネマネハウスで知り合った他大学の学生とも情報交換などをして対策を練り、日建設計の内定にこぎつけた。
2018年1月からは出身地の大阪の事務所に異動し、設計の仕事を続ける。「建築設備の設計は日々、新たな技術にチャレンジできる。ハード部分の建築と融合させて、快適な空間を作りたい」と目を輝かせた。(佐藤寛之)
■内定までの軌跡
2013年 秋 大学の授業で建築設備の設計に興味を持つ
15年 4月 専門性を高めるために大学院へ進学
12月 設計事務所など5社のセミナーに参加。
周囲に同じ分野を目指す人がおらず、不安になる
16年 1月ごろ 設計事務所など3社に事前登録。
研究成果をまとめた資料なども作成する
春 日建設計から内定を得て就職活動を終える
■日建設計
1900年創業。東京スカイツリーなど大型施設の設計や都市計画を手がける。本社は東京都千代田区。売上高432億円(2016年12月期)。従業員数1827人(17年4月)。今春の新卒採用者数は41人。専門家としての素養を持ち、チームで成果を出せる人物を求めている。