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    社会に出ることを意識して活動中の大学生、前向きに働く若手社員らを紹介します。

    若手芸術家とカフェつなぐ

    東京芸術大2年 阿部 華帆 かほ さん 22

    • 自分の作品を手に「気軽に足を運べるカフェで、若手芸術家の作品を見てもらう機会が増えれば」と話す阿部さん(東京都豊島区の「10-CAFE」で)=萩本朋子撮影
      自分の作品を手に「気軽に足を運べるカフェで、若手芸術家の作品を見てもらう機会が増えれば」と話す阿部さん(東京都豊島区の「10-CAFE」で)=萩本朋子撮影

    作品展示のお願い

     発表の場がない若手芸術家と、作品を無料展示するカフェを結びつける学生団体「TODOROKI(トドロキ)」に所属。交渉役の広報担当として、美術系の学生や卒業生から作品を募り、カフェを飛び込みで訪ね、展示のお願いをしている。

     昨年は都内のカフェ4店の協力を得て、1週間~3か月の展示を計5回開いた。カフェ側が作品を検索できるアプリ「スパークパレット」も1年前に開発し、自身も含め85人が作品を登録している。作品を気に入り、展示を1か月延長したカフェもあったという。

    別の美大から再受験

     大学での専攻は油絵で、将来は画家を目指している。最初は別の美術大に入学したが、その美大には、卒業後に専門と関係のない一般企業に就職する学生が多かった。「それが現実なのかな」とも思ったが、芸術家の道を選ぶ卒業生が多いと聞いた東京芸大を2年前に思い切って受け直し、合格した。

     TODOROKIのメンバーは、美術系の大学生のほか、イベント企画などに興味がある大学生ら約20人。「キュレーターのように、人とやり取りする力を培い、作品の見せ方なども学びたい」と、東京芸大入学後、団体の活動に参加した。

     「自分が良いと思う絵を描きたいけれど、それが他人に気に入られる絵とは限らない。その点ですごく悩むことがあります」と打ち明ける。だが、「まず何が求められているかを知りたい」と、自分の絵も積極的にカフェの展示候補に登録している。

     展示中は毎日のようにカフェを訪れ、絵を見ている人に感想を聞く。「強い筆遣いで絵が立体的に見える。彫刻をしてみたら」「作品を印刷したマグカップを作らないか」――。様々な意見に耳を傾けることが、自信と絵を描く糧になると思う。これからもイベントで即興の似顔絵を描くなど、多くの人と触れ合える場に積極的に飛び込んで行くつもりだ。(新美舞)

    専門生かせる就職先増える

     文部科学省によると、全国の大学で、美術やデザインを学ぶ学生は約2万9000人で30年前の倍以上に増えた。特に女子学生の増加が著しい。最近は、専門を生かし活躍できる就職先が増え、美大生の進路選択に詳しい喜始照宣きしあきのり・一橋大特任助教は「特にデザイン系の学生は選択肢が豊富」と話す。

     美術系の学生の就職支援を行う「優クリエイト」の昨年の調査では、1万3000人の学生の7割超が就職を希望。昨年4月に就職した5400人のうち4割がイラストレーターやグラフィックデザイナーの職種に就いていた。

    キュレーター
     美術館や博物館の展示で企画や運営の中心的役割を担う。東京芸大の住友文彦准教授によると、1990年代以降、美術館などの枠を超えた国際的な展覧会が増え、日本では学芸員の経験者らがキュレーターを務めるようになった。芸術家の選定や作品の借り出しに幅広い知識や高い能力が求められる。

    2018年02月27日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun