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熊本地震に学び共助の防災最新都市福岡へ
 熊本地震の発生からもうすぐ1年。本震直後から支援物資を収集・輸送し、熊本市東区内31カ所の避難所運営を行った福岡市の対応は現地で高く評価されました。そこで、朝日新聞・日本経済新聞・読売新聞は3紙共同で「熊本地震に学ぶ、これからの防災」を企画。西南学院大学の学生記者2人とともに福岡市市民局 防災・危機管理課を訪ね、熊本地震の経験を踏まえ新たな視点で見直す市の防災計画について、小野哲司課長と大峰善道課長に話を聞きました。
2016年12月に行われた避難所運営の訓練
2016年12月に行われた避難所運営の訓練
誰もが防災の担い手 助け合い意識啓発
 災害発生時、「避難勧告」「避難指示」という言葉をよく耳にします。これを市民に向けて発表するのが防災・危機管理課です。市内の災害状況等を収集し、発信する、いわば災害対策の司令塔。自然災害に限らず、不測の事態が発生した場合、市長をトップに対策本部が組織されます。
 学生記者の岩城百香さんは「もし避難勧告が出ても自分がどこに避難すればいいのか分からない」ことを大峰課長に打ち明け、災害時の避難について聞きました。
大峰課長(左)と小野課長から説明を受ける学生記者の西久保さんと岩城さん
大峰課長(左)と小野課長から説明を受ける
学生記者の西久保さんと岩城さん

拠点と避難所SNSで配給物資の過不足を解消
 「市内で最初に避難所になるのは公民館と小学校。それらが満員になると中学校などが順次避難所になります」と大峰課長。避難所を段階的に開設する理由の一つが運営の問題です。初動期に避難所を運営するのは自治体の職員ですが、大規模な災害では職員も被災者の一人になる場合が多く、他の職員も膨大な対応に追われ避難所の運営に人員を割けない現実があります。

 熊本地震直後に福岡市が行った人的支援が、まさに熊本市職員に代わって避難所の運営を支援することでした。支援第1班として本震3日後に現地入りした小野課長は、「最初の課題は職員同士の情報共有だった」と振り返ります。「福岡市は熊本市東区の全避難所31カ所を運営。全国から届く支援物資はまず県全体の物資拠点に集められ、区の物資拠点を経由して各避難所へ配られる仕組みですが、情報が入り乱れ、避難所の需要にあった品目が届かない状況でした。そこで、情報通信技術(ICT)を活用し、福岡市独自に開発した物資配送システムで区の物資拠点と各避難所をつなぎ、避難所のニーズに対応した物資輸送を行うとともに、各所で支援にあたる職員で交流サイト(SNS)のグループをつくり、物資不足や過剰を情報共有して、避難所間で物資を融通しました」

 こうした被災自治体に極力負担をかけない自己完結型支援の経験から、今後は避難所運営や物資の輸送体制の構築など福岡市の地域防災計画の見直しを進めています。

福岡市独自に構築した物資供給システム
福岡市独自に構築した物資供給システム

福岡市支援職員間で作成したSNS(交流サイト)グループのやり取り
福岡市支援職員間で作成したSNS(交流サイト)グループのやり取り


熊本地震の教訓を踏まえた新たな防災計画スタート
 福岡市の防災計画は今後どのように変わるのでしょうか。学生記者の西久保太郎さんは、熊本地震に学ぶ福岡市の課題を大峰課長に聞きました。「物資の受配送、高齢者や女性などに配慮した避難所運営、指定避難所以外の避難者対応、市民・企業の平常時からの備えなど様々な課題が見えてきました。熊本地震では、プライバシーが十分に保護されないことや精神的な苦痛から避難所生活を選ばれず、車中で生活された方も多くいらっしゃいました。しかし、長時間同じ姿勢で過ごす車中ではエコノミークラス症候群を発症する危険性があります」

 避難所での不自由な共同生活や車中泊の実態を目の当たりにした大峰課長は「余震がおさまり、行政が行う建物の応急危険度判定で安全性が確認されれば、自宅で生活し、物資の受け取りなど必要なときに避難所を訪れる方法(在宅避難)があることも知ってもらいたい。一般的に耐久性に優れた共同住宅は平常時から家具類の固定やガラスの発散防止対策を行っておけば、最低限の安全性は確保できる。生活するうえで必要とされる保存食、水、災害用トイレが備わっていれば、在宅避難も選択肢の一つになる」と語ります。

 福岡市は計画見直しの中で共助の力に注目しています。来年度に実施する予定のマンション等の防災力をアップするための事業は共同住宅が7割を占める市の特性を踏まえ、マンションの管理組合などに防災組織の発足を呼びかけるものです。住人同士の安否確認をはじめ、棟内を1つの組織として機能させれば市や避難所とのスムーズな情報共有も期待できます。また、地域による避難所運営を支援するためのワークショップを開催。さらに、福岡県西方沖地震をきっかけに開始し、継続して取り組んでいる防災リーダー養成講座「博多あん・あん(安全・安心)塾」もフォローアップ。福岡市内外で活躍できるボランティアの人材育成を目指すそうです。



 「大学生に期待することはありますか」という岩城さんの質問に、「防災の担い手は多い方がいい。熊本地震の際には、被災地に支援物資を送る大名プロジェクトで多くの大学生に活躍していただいたので、大学生には大いに期待しています。いざというとき即戦力になるためにも平常時から地域で顔の見える関係性づくりを意識してほしい」と大峰課長。

 市役所での取材を終え、西久保さんは「これまで災害イコール避難所という意識でした。僕は家族と分譲マンションに暮らしているので、管理組合が防災組織として機能するとき自分に何ができるのか考えてみたいと思います」。岩城さんも「今は隣に住んでいる人の顔も知りません。地域の中へ入っていくことが自分の身を守ることにつながると思いました」と意識を新たにしました。
学生記者 岩城さん、西久保さん
【関連リンク】
・福岡市防災の手引き(地震や風水害への備えや、地域での防災対策などをわかりやすくまとめた冊子)
http://www.city.fukuoka.lg.jp/shimin/bousai/bousai/bousai-keikaku_2_3.html

・福岡市防災メールの登録案内(防災情報をあなたの携帯電話やパソコンへ)
http://bousai.city.fukuoka.lg.jp/regi.html

・福岡市政PR動画「地域のみなさんとともに災害に強いまちへ」
https://youtu.be/MDOWjFh2WMQ